「立ち位置」で話題の切り替えを示す方法(プレゼン)
先日、私が主催したのとは別のプレゼンテーション練習会に参加したときのことです。
ある人がこんな話を熱く語っていました。
子育て中の女性の多くが、「通勤できない」というそれだけの理由で、高い能力を持ちながら、職業につけずにいます。こんなもったいないことはありません。もしも通勤できないというギャップを解消できたら、働きたい人と、人材が欲しい会社の双方に利益がある、みんながハッピーになれる、素晴らしいことだとは思いませんか?
(ただし、実際は文字起こしをすればこの3倍以上の文字数になるトークだったのですが、それをここで書いても無用に長くなるだけなので省略してあります)
プレゼンの内容は素晴らしいもので、興味深いし働く人にも会社にも利益がある、現実的に実現可能な提案でした。一方で、話が分かりやすく伝わる演出に関しては少々改善の余地がありそうでした。
このプレゼンテーションは、プロジェクターを使わず、しゃべりとゼスチャーだけで行われました。このトークの間、プレゼンターはステージ中央にまっすぐ立って、ゼスチャーは入れつつも左右には動かずに話をしていました。それが、「改善の余地がありそうな」ポイントです。
それを見ていて私はある演出を思いつきました。
開米:立ち位置で話題の切り替えを示してはどうでしょうか?
プレゼンター:え、具体的にはどうするのですか?
開米:こうやって・・(実演)
プレゼンター:あ、なるほど! いいですね、それ、採用!
ということで好評だった演出をご紹介します。
もしこの話をプロジェクターを使って説明するとしたら、おそらくこんなスライドを作ったことでしょう。
しかしプロジェクターもホワイトボードもありません。となると、こんな図解はできないのでしょうか?
いえいえ、まだ我々には「体」があります。
ということで、「立ち位置」で話題の切り替えを示す方法を使ってみましょう。
まず、「女性が家庭で子育てする」というシーンについて語るときはステージの左側に立って話をします。
次に、「通勤できないのでは情報の共有が難しい、勤務状態の把握もできないしセキュリティ面でも問題が・・・」といった職場側(会社側)の事情を説明する時はステージ右側に立って話をします。
こうして立ち位置を変えることで、聴衆の脳内に「左側は家庭、右側は職場」という意識を印象づけたところで、ギャップの話をします。
ここでは既に「左は家庭、右は職場」という印象が出来ているので、その中間に手を振って見せることで、両者の間に「通勤できない」というギャップがあることを示せます。
これが、「立ち位置で話題の切り替えを示す法」です。
この方法は複数の登場人物がいる話をするときには広く使えるので、類似のシチュエーションがあればぜひ使ってみてください。
プレゼンテーション練習会の「演出タイム」はこうした演出の案を出し合う時間です。練習会をやっているとこれが非常に楽しいんですね。というのは、
- 1人では思いつかない演出案がいろいろ出てくる
- みんなでワイガヤと少しずつアイデアを出し合う建設的な会話ができる
- プレゼンテーションがすぐに目に見えて改良されるので、プレゼンターも意見を出した人も気持ちがいい
これがリアル「練習会」の楽しさです。あなたも一度、来てみませんか?
(ただ、5/30に開催予定の練習会は参加者募集を締め切りましたので、後日次回開催予定をご案内します)