人事考課がうまくいかないのは制度の不全だけが理由じゃない
寄稿者はこのサイトの共同創設者でもあるKris Dunn氏。
Coaching Skills: The Reason the Performance Review Exists In The First Place...
コーチングスキル: 人事考課がそもそも存在する理由は...
日本でなく欧米でも人事の世界にはいろいろな流行がありますが、Dunn氏は
Had someone ask me yesterday how they could eliminate the performance review at their company.
昨日、どのようにしたら自社から人事考課を無くすことが出来るか質問をされた。
のだそうです。もっとも、
It's trendy to say that performance reviews are broken and must be eliminated from corporate life.
人事考課がすでに破綻している今、企業のライフサイクルの中ではこの制度を廃止すべきだ、と言うのはある種のトレンドである。
と言っています。よくある人事部不要論と同じ文脈ですね。
ただ、当然ながら実際にはそう単純ではありません。
What the people who call for an end to performance reviews won't tell you is that they don't have any good ideas on how to make the feedback loop better. After all, the primary problem isn't the system, it's the coaching skills of the managers you have in place to deliver feedback.
人事考課を終わらせようとする人々が口にしていない真実は、フィードバックのサイクルをうまく回すためのいいアイデアを持っていない、ということなのだ。結局、問題の主因は制度/システムではなく、フィードバックを提供させるために現場に配置されているマネージャーのコーチングスキルなのだ。
そして、以下を復唱しなさい、と言います(笑)。
Managers = Feedback Delivery System
マネージャー = フィードバック提供システム
IF <your managers suck at giving feedback>/THEN <it doesn't matter how you deliver feedback, it's going to suck>
もし <あなたの会社のマネージャーがフィードバックをうまく出来ない>/その場合は <あなたのフィードバックのやり方など関係なく、どうにもうまくいくはずがない>
再度まとめると、
The reality is that the issue isn't your performance review system, it's the coaching skills of your managers.
実際の話、問題は人事考課の制度/システムではなく、あなたの会社のマネージャーのコーチングスキルにある。
ということになります。
とはいえ、もちろん、最低限の人事考課の仕組みがあることは大前提です。これは会社のマネジメントシステムの一部として必須。
しかしそれだけでは不十分で、きちんと機能させるにはマネージャーの評価者としての力量が重要になるのです。
Dunn氏からのガイダンスです。
Keep the annual review, then do the following:
人事考課を継続させるとともに、以下を行うこと:
- Start an initial and recurring training program to build coaching skills in all your managers of people. You have to do this or nothing else really matters.
全てのマネージャーを対象に、コーチングスキルについての研修プログラムをすぐに開始し、かつこれを継続して実施する。まずこれをしなければ、重要な結果は何も得られない。
- To get your managers to use the coaching skills, work with your senior leaders to implement a system where managers are expected to do "one-on-one check-ins" with all direct reports once a month (note - some progressive companies do this weekly, but you have to walk before you run..).
マネージャーがコーチングスキルを使えるようにするために、マネージャーが報告を受ける部下全員と月1回の1対1での面談をする制度/システムを、経営幹部と協力の上導入する。(注: 多くの先進的な会社ではこれを週次で行っているが、いずれにせよ走り始める前にはまず歩かないといけないのだ...)
- Be the coach for the coaches (see recurring training in #1). They're going to need it.
コーチ(マネージャー達)のコーチになる。(1.の継続的な研修を参照) 彼らにはこれが必要なのだ。
つまりどういうことかというと、
Coaching is the replacement for the annual performance review. In fact, the lack of coaching skill is the REASON we have performance reviews.
コーチングは年1度の人事考課の代わりとなるもの。実際のところ、コーチングスキルが不足しているからこそ人事考課があるのだ。
とはいえ、コーチングであるからこそ、この面談は何らかの軸で評価を行うところではない、というところは重要です。
マネージャーがきちんとある程度の時間枠を押さえ、従業員は話したいことリストを持ってくることを奨励されます。マネージャーはそこで従業員にとって壁になっているものを除去する支援をし、その後にコーチングスキルを使いながら、部下にとって何がうまくいっており、部下がもっとフォーカスすべき機会がどこにあるかを語る、というのが一連のプロセスになるとのこと。
コーチングについても定義が様々ですが、メンタリングなども含めて、幅広いコミュニケーションスキルを身につけることが必要だと思われます。
特に、コーチングのみに専心すると遠心力が働いて、「やりたいこと」が「やるべきこと」より優先されてしまう危険性もありますので、その点は付記しておきます。
指示命令をきちんと行うことも、コーチングと同様に非常に重要なことです。
Coaching skills (or lack thereof) are the REASON we have performance reviews. It's also your way out of the broken system, but only if you invest the time and energy to do something about it.
コーチングスキル(というよりもむしろその欠落)こそが人事考課制度/システムを行う理由である。これが破綻した制度/システムから抜け出る道だが、そのためには何らかのアクションを起こすためにきちんと時間とエネルギーを投資することが必須となる。
ハードとソフト、両方への働きかけが必要ですね。かつ継続性が重要です。
ちなみにこの方は、企業の人事ディレクターの人であって、研修会社の回し者ではありません。かなり営業トークっぽいですけど(笑)。
ご一読ありがとうございます!
そしてここからは当社の営業トークですが(笑)、
評価者のトレーニング、やってます。特にフィードバックに注力したバージョンもあります。研修会社では無いゆえに、いかようにでもカスタマイズ可能です。
そして人事制度は得意中の得意です。コンピテンシー(能力)をベースとした評価制度はこちらから。
また、先週開始のメルマガは本日午後に2回目の配信を予定。サンプルも公開しました。