僕のマウスは左利き
先日初めてマカオに出かける機会があって気が付いたのであるが、車が日本と同様に左側通行だったのは予想外であった。1999年に中国に返還されたんだから、最初は単純に右側通行なのかと予想していた。いや旧宗主国であるポルトガルの習慣をそのまま踏襲しているのかもしれないと思い直したのであるが、ポルトガルだってやっぱり右側通行の国である。暇つぶしにWikipediaで「対面交通」をキーワードにして調べてみたら、どうやらポルトガル本国では1928年に左側通行から右側通行へと切り替えたにも関わらず、統治領の方は切り替えを行なわずに放置したのがその原因らしい。マカオを清から得たのが1887年だから、タイミング的にも説明がつく。さらに何で通行区分を変更するなんて乱暴なことをするのだろう、と思ってもう少し歴史を調べてみたら、1926年にクーデターにより軍事独裁政権が成立したとある。時の政府は従来の慣習まで根こそぎ葬らないと気が済まなかったのかもしれない。いずれにしてもマカオでは、多くの日本車が右ハンドルのままで走り回っていた。
200名以上参加のイベントのために出かけたわけであるが、現地では大人数での移動のために貸切バスが用意されていた。これが韓国のHyundai製なのであるが、ハンドル位置や乗降口が原産国仕様のままであった。すなわち左ハンドルの右側乗降であり、右側通行仕様なのである。個人の嗜好で右側通行仕様の車に乗るならまだしも、公共の交通機関にそのまま採用するとはおおらかなものだ。路肩での乗降は運転席前を横切ってから道路側に出なければならないので、ちょいとスリリングである。
通行区分が右ないし左である理由は国によって様々のようだ。日本では武士が刀を左側に差していたために、すれ違い時に刀同士がぶつからないよう左側通行になったそうだ。そして当初は人も車も同じ左側通行を採用したので、当然の事ながら事故も起こりやすい。人と車の通路を別にするにあたり、車の方を改造するわけにはいかなかったので人を右側通行にした、との説がある。
そもそも人は左側を歩くのが自然であることを示す実験をかつてどこかのTV番組で見たことがある。平地で目隠しをした状態でまっすぐ歩かせてみると、多くの人は少しずつ左に逸れてゆくのだそうだ。足も右利きの人が多数派なので、右足の脚力がやや勝っている人が多いことになり、結果としてこうなるらしい。
僕自身は多数派の右利きなのであるが、例外的にマウスは左手で扱うことに決めている。元々は右手で扱っていたのであるが、ある時電話を肩にはさみながらキーボードとマウスを同時に操ろうとして、右手ばかりが忙しくて左手が遊んでいることに気が付いた。ならいっそのことマウスの方が単純操作なんだから左手で使えるようにしよう、とやおらマウスの置き場所を左に移動させて以来そのままだ。忙しい時は右手でキーボード、左手でマウス、である。当初はポインターの移動がおぼつかなかったが、今では何の不自由もない。誰も評価しないけれど、究極の業務効率改善なんだけどなあ。