JWLIボストン・リーダーシップ研修 | DAY11 パワーとリーダーシップ
シモンズ経営大学院にて、リーダーシップ研修4日目。教授たちの間で話題になっているのは、先週のNYタイムズのハーバード・ビジネススクールに関する記事。ハーバード・ビジネススクールでもジェンダーの差別があり、女子学生が発言しにくかったりする実態についての記事だそう。距離的に近いからか、意識しているから、やはりハーバードが話題になりやすいのか、教授の話にはハーバードの話題がよくでます。ある人は新しい研究をハーバードに売り込みにいっても、「ふぅん、面白いかもね。でもね、うちはハーバードだからなぁ。」とスノビッシュに断られた話を聞きました。まあ、みんな言いたい放題で、面白いです。
今日の授業は、パワーとどう向き合うのか学びました。パワーの定義は、日本語のいわゆる「権力」ではなく、「他者に影響を与えることができる個人的なポテンシャル」でした。人に対する影響力をどうやって強めていくのか。パワーの要素となるものは、以下4つ。1)肩書・ポジション、2)専門知識やスキルや実績、3)リソースと情報、4)ネットワークや仲間。
また、実践型授業でゲームをしました。それぞれクジを引いて番号が割り振られます。そして、ゲームのルールが説明されました。
・売上が下がって、法的にも訴えられている、問題が多い会社で、このクラスのメンバーの中から新しい役員をアサインすることになりました。このクラスのメンバーは、各国の支店に勤めている部長クラスです。
・株主から最も多い株式割合の委任を受けた人が役員にアサインされます。
・クジでひいた数字は、自分のネームプレートにみんなに見えるように書く
・言葉は使ってはならず、メールのメッセージだけでやりとりします。(紙のメモをメールとみなす)
上記だけの説明で、クジでひいた数字が何を意味するのか、役員は立候補制なのか推薦制なのか、誰に何のアクションすべきなのか、一切の質問は禁止です。で、一切話すなと言われ、シーンとした教室でゲームスタート。
私の数字は800、みんなの数字をみると1000の人もいるし、300や500の人もいてバラバラ。これは持っている株式の数だと推測し、数が多い3人にアプローチしてみました。情報を集めるために、同じ質問「あなたは多くの株をもっているので、誰に投票するつもりなのか意見を聞きたい」とメモを渡しにいきました。そうすると、「Aさんがいいと思うわ」といったメモと、「私が立候補するから、あなたの800を私に投票してほしい」というメモと、「Bさんが立候補すると聞いたけど、私も立候補しているの。私の方がふさわしいから、私に投票してくれないかしら」と続々メモが届きます。私は800あるので、影響力が強い方のグループでした。その後も、みんなから「あなたは誰に投票するの?」とメールが届きますが、それには答えず、立候補していた2人にそれぞれ何故自分がふさわしいと思うのか理由をたずねるメモを渡しにいきました。それぞれから返事が戻ってきたところで、ゲーム終了。
その後、会議をして口頭で誰に投票すべきかみんなでディスカッションをします。会議の司会者も、自ら手を挙げた人が進めます。Aさんが法的なことに対する経験があるから、とか、会社の売り上げを伸ばすためのグローバル戦略をどうすべきかなど話し合います。そして、立候補2人からの最後の売り込みがあり、最後に投票し、役員を決めました。
そして、教授を交えて、ゲームがどうだったか意見をいいあいました。私は800と株式数が多いほうなので、メモがたくさん届きましたが、100や200など株式数が少なかった人は、いくら人に書いても返事がもらえなかったとのこと。そこで戦略を変えて、株式数が少ないもの同士で固まって影響力を持つようにしたのだそう。教授いわく、株式数が少なく誰もメモがこない場合、ゲームに嫌気がさしてトイレに行ったり、コーヒーを飲みにいったり、まったく参加しない人もでるそう。影響力が持てない人の行動パターンが少し見えてきます。そして、株式数が1000や1500など多い人は、ゲームなのにあたかも自分がエライ人に思えて自信がもてたと言っていました。面白いことに、立候補した2人はそれぞれ1000以上の株式数。そして、その後の口頭の会議の司会をやると手をあげた人も、1000以上の株式数でした。目に見える形で権力をもっていることが示されると、人はとても自信をもって行動できることがわかります。あと教授がいうには、どこの位置に座るかも大切だとのこと。センターに座っている人は、中心的な役割を求められる傾向があるとのこと。立候補者2人のうち、最後に勝ったAさんは、見事にど真ん中に座っていました。明日の授業はセンターに座ろうっと。
そして、2人の立候補者の違いは、仲間を多く集められたかどうか。スキルやバックグラウンドは2人とも、役員にふさわしいと誰もが認めていました。でも、最後は仲間を多く集められたAさんの勝利。Bさんは、一人一人に長く丁寧なメモを書いていて、多くの人にリーチすることができなかったのだそう。
まとめると、頭が良い&みんなに人望がある前提で、今回のパワーゲームに勝ったポイントは3つ。
・株式の割合が多かった(自分の権力に絶対なる自信をもてた)
・センターに座っていた
・できるだけ多くの人に効率的にリーチする
人は実績や結果がついてくれば、黙っていても他の人が認めてくれるだろうと思っているけれど、それは大間違いだそう。何度も”visible ! " という言葉を使っていました。他者も自分にも「見える」形で示さないとパワーは持てない。そして、誰も自分のため”visible”してくれない。自分で意識して実績や強みを”visible"して、人に対する影響力を強めていく必要があるということでした。