オルタナティブ・ブログ > 山田智恵のビジネスアナトミー >

ビジネスや世の中の流れの分析。ときどき手帳の話など。

足りないのは価値の再認識と発信力

»
473pxvan_gogh__1
 
浮世絵の流出
 
ゴッホが浮世絵に影響を受けていたのは有名な話ですが、浮世絵は日本以上に海外で評価され、多量の作品が日本国外に渡ったそうです。芸術的価値を見出したヨーロッパの人が計画的に買い続けた結果、第一級の作品は日本から姿を消してしまったとのこと。
ネット社会になって海外からの評価が見えるようになり、過小評価が減っているようにも思いますが、それでもまだまだ過小評価(謙遜?)しがちなのではないでしょうか。
 
浮世絵の時代と同様に、ヨーロッパのファッションブランドが日本の職人技や伝統技術にフォーカスしているような活動は今でも多くあります。
 
Gucci は、「未来に受け継ぎたい手仕事」というブログを立ち上げて、日本の職人仕事を紹介しています。
 
少し前の例ですが、ルイヴィトンのチャリティガラでは、日本の伝統技術の魅力を広めるためのイベントが行わたり、Bottega Venetaは東京大学と協同で日本のデザインとイタリアの職人技術をコラボさせるコンペを行っていました。
ルイヴィトンのチャリティガラ
ボッテガヴェネタのコンペ
 
こういった動きは、海外流出してしまった浮世絵と重なってみえませんか?
 
 
自分たちで価値を再認識して海外にアピールする
 
私は旅行に行った時には、ブランドものよりもその土地の民芸品を見てまわります。例えば、ロシアではマトリョーシカ、ヴェネチアではガラス工芸品、バリ島では木彫り工芸品といったように、その土地のものを見るのをとても楽しみにしてるのです。
今はネットショッピングで何でも手に入りますし、先進国は世界中から良いものを集めてくるセレクトショップもありますが、やはり現地は品数の多さが違いますし、本場で買ったという思い出が加わるので、「その土地のものを買う」というのは旅行での大きなイベントになります。それを本場で買いたいがために、その土地に旅行に行くことを決めたこともあるくらい。
 
日本の生活工芸品や伝統的工芸品なども、海外の有名な名産品と同じように、わざわざ海外から買いにいくために旅行に行きたくなる力を持っていると思っています。ただ、ヴェネチアのガラス製品やフィレンツェの革製品と違って、日本のこの土地では何が名産なのか、どんな職人がいるのか情報やアピールが少ないように感じます。
 
「この土地にきたらこの工芸品!」というアピールがしっかり出来ている観光地では、空港に着いた時からズラっとその工芸品が並んでいたり、旅行ガイドにもこれでもか!っていうほど情報が載っています。
 
日本に足りないのは、価値を再認識することと、アピール力だけ。
 
今は、フェイスブックも、ツイッターも、ピンタレストもあり、良い情報さえあれば世界中に広がる環境は整っています。語学ができなくても、商品の良さを表した写真をとって、そこに地名、商品名だけ入れたものを毎日メディアに載せるだけならば出来るのではないでしょうか。
 
いいものを沢山持っているのだから、あとは発信力だけだと思うのです。
 
 
Comment(2)