「生き残るための」文章の書き方(10)起承転結で見晴らしのよい文章を
前回はtwitterを使って、ミニマムな起承転結構造を鍛える方法について書いた。企画書や稟議書など、いわゆるビジネス文書ならば、140字の構成をもとにして書けてしまうだろうと思う。この連載の第2回で書いたように、ビジネス文書は作文コンクールではない。文章の上手い下手は気にせず、たくさん書けば上達は早い。「構成」以下のメソッドは順々に説明していくけれど、以下の項目だけでいいから頭に入れてどんどん書こう。
1.●まず構成
2.●5W1Hは基本の基本
3.●仕組みを明らかにせよ
4.●人間理解が大切
5.●これからどうなる? でしめくくる
■長い文章も起承転結で書ける
さて、今回は、少し長いレポート的な文章から単行本1冊まで、長い文章をどう構成するかを考えてみたい。
こちらも、基本的には「起承転結構造」で考えるのが一番の早道である。
前回の「女子高生シリーズ」も、実はそうなっている。本当はきれいに起承転結4回で終わらせたかったのだが、1回延びてしまった。
『もし女子高生が、法律雑誌に連載を持ったら』......起
(タイムリーなネタに便乗する形で、意外性のある書き出し)
『たとえ女子高生がバイトの話ばかり書いても』......承
(コラム執筆者の女子高生が、担当編集者である私の連載意図を汲んでくれない葛藤。しかし彼女の文章は間違いなく上達していった)
『女子高生は銀行員になり、「奇跡の窓口」を作っていた』......転
(おそらくこのブログの読者の誰もが予測しなかった展開......フィクションも、脚色もありません)
『女子高生は、文章力を〈生きる力〉に変えた』......結
(文章を書くことによって鍛えた文脈を読む力、作り出す力を、彼女はいかんなく接客で発揮している)
■高いところから見渡して書こう
以上の展開を、私は編集者としての当事者だが、第三者的な立場から全体を見渡して書いている。読者には先が読めなかっただろうが、書き手にはあらかじめ起承転結の全体像が見渡せている。
それは、かつてコラムを書いていた女子高生が銀行員になってそうしたように、一見ばらばらに散らかっている要素を、文脈にまとめて全体像をつかむ作業となる。
企画書ならこうなる。
どんな新製品か? いつ出すのか?
競合はあるのか? その製品はどんな新味があるのか。市場を切り開こうとしているのか?
ユーザーのニーズに合うのか? そもそも売れるのか?
デザインはどうするのか? 部品をどう調達するか、工場のラインをどう作るか?
どんな販路で流せばいいのか。原価計算と市場価格は折り合いそうか?
これらのばらばらの要素を、第三者的に全体を見渡すと以下のようになる。
起......こんな新製品を出したい。
承......その新製品のスペックはどんなものか。
転......その製品は、市場にとってどのように新しく、市場やユーザー満足をどう変えるか。
結......製造方法、販路、価格はどうか。
このように整理する過程で、そのプロジェクト全体が見渡せる。特長や弱点がわかりやすくなり、上司や社内会議やプレゼン対策にもなるのである。