インダストリー4.0に求められる信頼が失われたギリシャ、ユーロ圏から離脱させたいドイツ
ギリシャとの間の信頼(Trust)は既に失われた・・・・万難を排してもギリシャをユーロ圏にとどめたりはしない・・・
ドイツの宰相 アンジェラ・メルケルさんです・・・・
"That means that we will have tough discussions and there will be no agreement at any price."
REUTERS/Stringer/Pool
<出所 ビジネスインサイダー>
アメリカ南北戦争で逸早く、奴隷州としてアメリカ合衆国からの離脱を宣言したサウスカロライナ州
今回のギリシャ問題では時々米国のブログに引用され、出てきます。
最近まで行政府で掲げられていた南部連邦旗は、人種差別テロの結果、掲揚中止になりました・・・
<出所 http://jezebel.com/>
欧州のギリシャ問題は、「万難を排してもギリシャをユーロ圏に残すような対応はしない」「ギリシャとの間には最も重要な信頼関係(trust)が失われた」と述べギリシャには融資継続の為の非常に厳しい条件を課すとともに「ギリシャの求める徳政令(欧州やIMFからの借金の棒引き)はギリシャがユーロから離脱する時の餞別だ」と言った意味のことを盟主のドイツはのべています。そして「ギリシャのユーロからの離脱に関しても正式にユーロ諸国の会議で議論」されました。主にドイツの宰相アンジェラ・メルケルさんの発言です。例え今回は合意が成立してもギリシャは早晩、ユーロ圏から離脱しそうな雲行きです。
■ 信頼が失われたとは
今回のギリシャの金融、財政危機は欧州、とりわけもっとも景気の良いドイツがインダストリー4.0と言われる第四次産業革命に突入した矢先に勃発しています。インダストリー4.0やIoTはありとあらゆるモノがインターネットに繋がり、サプライチェーンの各工場や企業が対等な条件でインターネットに繋がります。そこで重要なのは各企業間の信頼関係(trust)であると言われています。(コマツのスマートコンストラクションなど参照)またインダストリー4.0やIoTは個の自律を促進し、市民社会の自由や民主主義の下での自己表現などを目一杯、開放する方向に進んでいます。その表れが家族における変形家族制度(結婚を前提としないパートナー制やLGBT制度など)であり、働き方がUberやソフトウエアエンジニアに代表される「雇われない働き方」などです。それを支えるのが価値観の共有などの「信頼関係(trust)」と言うわけです。インダストリー4.0やIoTに対するサイバー攻撃などが活発化している中、この社会の信頼関係の再構築は個を中心とした新しい市民社会を築き上げる上で必須と言えましょう。それを作り上げる仲間として見た場合、ドイツは「ギリシャには無理だ」と言い放ちました。人種差別か歴史遺産の保全かで揉めている米国の南部連邦旗の掲揚の問題も同じ範疇だと考えられます。
インダストリー4.0の入り口でドイツは「自分の国の財政問題や失業問題を解決する能力も意思もない相手、ギリシャとは価値観の共有などの「信頼関係(trust)」が失われた」と言っている点に注目です。
■ 南北戦争時のサウスカロライナの合衆国からの離脱の後追いか
米国史上最も多くの62万人の戦死者を出した戦争とされる19世紀の南北戦争では、奴隷廃止論者アブラハム・リンカーンの大統領当選が確実になると逸早く奴隷州のサウスカロライナは合衆国からの離脱を宣言し、多くの南部諸州がそれに続きました。
今回のギリシャ問題を考えるにあたって南北戦争時の米国の状況が時々議論されています。
米国独立戦争後農業諸州では英国の繊維工業の成長の中でプランテーションが発展し、奴隷制が一挙に広まり、自由貿易を促進しました。一方19世紀初の米英戦争を経て東部の州では第一次産業革命がおこり、工業が発達し保護貿易を求めていました。工業各州は「働き方の問題として奴隷制度には猛反対」でした。大きな焦点は雇用契約か奴隷制度の維持かと言う働き方の問題です。その結果、お互いの信頼関係が失われた訳です。
奴隷制度廃止は新しく勃興する第一次産業革命を巡っての「働き方の問題」でした。
■ 新しい家族、新しい働き方、新しい価値観と信頼関係
インダストリー4.0やIoTは、既にフランスでUberPopが火の手を上げているように新しい働き方が古い国民国家の中で社会摩擦を起こします。カウンターカルチャーの伝統を引きずるシリコンバレーがもろ手を挙げて支える新しい家族制度は欧州から米国、豪州からベトナムまでLGBT婚などが解禁になっています。それを支える新しい価値観と信頼関係問題の象徴が南部連邦の旗の問題です。
国民投票やギリシャ政府の対応を見て「ギリシャはそう言う新しい社会を共に築く相手では無い」とドイツやフィンランドはギリシャに通告した訳です。
■ 新しい産業革命について行けないコミュニティの離脱
G8を追い出されたロシアに続いてギリシャもユーロ圏から脱落し、インダストリー4.0やIoT時代が進む中、嘗て英国無敵艦隊に敗北後、国が一挙に衰えたスペイン、ポルトガルの道を歩むのでしょうか。明治維新期に近代化について行けず、列強に浸食され植民地化された清国の道をあゆむのでしょうか。
またホモサピエンスの飛び道具の進歩について行けず滅んでしまったネアンデルタールの運命もあります。それでもISISのようにイスラム圏全体をネアンデルタールの運命に引きずり込むのに比べたら、まだましかもしれませんが。
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