スマート革命とM2M、現代のピノキオ達が語りかけてくるセミナーに参加して
<序文>
ITmedia主宰のエグゼクティブセミナーに初参加してきました。テーマはモノのインタネットの産業版として知られ始めているM2Mです。スポンサーは国内でM2Mのサービスを提供するボーダフォンです。
筆者は英国に滞在していた時、レーカルグループの一員だったボーダフォンのことはよく覚えています。同社には一度、仕事でお邪魔した記憶もあります。
そのボーダフォンがM2Mのビジネスにおいて世界で有数の実績があると聞いて是非、聴講したいと思っていました。
ドイツの自動車メーカー・BMWや、米国の医療機器メーカー・Boston Scientific、オランダのパーソナルナビゲーションデバイスメーカー・TomTomなどを顧客に持つ英国のボーダフォンの話を主体としたM2M講演は楽しみでした。
★★世界中のネットワーク基盤が強み M2Mビジネスに注力する英ボーダフォン
1940年代に流行った映画のピノキオ
<出所:WiKi>
映画「AI」
<出所:http://kissaten-no-heya.blogspot.jp/2012/12/ai.html>
<M2Mのビジネスの三つの柱>
二番目の講演ではボーダフォン本社のエカーブ・ニクラス氏が、スエーデン訛りの英語で心地よく話してくれました。そのポイントはM2Mのサービスには三つのポイントがあると言う内容でした。
1、 コスト削減とコンプライアンス
これは自動販売機やスマートメーターがセンサーで数値を収集して勝手にデータを送ってくれるため効率化になると言う話です。言うなれば一種のデバイスによるセルフサービスがコスト削減をもたらします。スマートフォンのような消費者インターネットの場合には、生活者のセルフサービスが早晩、店舗の店員の数を減らしたり、店員の役割をスマートな相談業務にアサインするだろうと言われていますが、M2Mのような産業インターネットの場合には、スマート機器がセルフサービスを行ってくれるようです。
2、 製品および顧客満足度の向上
講演でも出ていましたが、交通渋滞があったり、300メートル前のスマートカーがワイパーを使いだすと「渋滞だから別の道を教えるよ」とか「夕立だからスピード落として」と車が話しかけてくれます。
これはスマートカー(モノ支配論理)の上に生え出た「サービス支配論理」ですが、驚きの経験提供であり、確かに顧客の満足度は向上しますね。
3、 新しいビジネスモデルの登場
講演資料には「お客様ビジネスの変革」と書いてあったのですが、これは明らかに新しいビジネスモデルの登場です。これまで衛星を使った値段の高いタクシーの位置情報把握に手が出せなかった20台以下の零細のタクシー業者がGPSを活用して配車の有効性を高めたり、トヨタやホンダが販売後のタクシーなどの商用車の保守管理をM2Mのサービスで提供すれば、これは明らかに新しいビジネスモデルの登場と言えるでしょう。
<現代のピノキオ達は何を語るのか?>
さて美しく流れるような英語の講演を聞いている中で筆者の妄想が動き出しました。スマートデバイスが勝手に呟き始める世界へのいざない・・・が自然に心理空間で動き始めた訳です。
最初に心に浮かんだのは、映画のあるシーンでした。映画「AI」の中では愛をインプットされたAIの坊やが「ママにあいたい、本物の子供になりたい」と青い妖精に願いをかけます。「ブルーフェアリー、ブルーフェアリー、僕を本物の子供に変身させて!!」と言うのはスピルバーグ監督の映画「AI」においてもっとも視聴者の涙を誘う哀しい場面です。彼は映画の中でロボットのAIを現代のピノキオとして描きました。ピノキオとは木で出来たお人形に命が宿った物語ですね。
次に筆者の心理空間に出て来たのは人形供養、針供養の場面でした。続いて木仏長者の話が浮かんできました。信心深い奉公人の木仏様と庄屋が大切にする金仏さまが相撲を取り、勝手に動き出す話です。モノと言う万物に精霊が宿ると言う発想は日本文化にも馴染み深い現象なんでしょう。こう考えるとM2Mサービスは存外日本のカルチャーに馴染むものかもしれません。
スマートデバイス達が勝手に呟き、お互い同士で会話したり、人に話しかけてくる、そしてそのうち笑いかけて来るM2Mサービスの時代がいよいよやってきます。
現代のピノキオであるスマートカーやスマートメーター、スマート医療機器は私たちに一体、何を語りかけて来るのでしょうか?
札幌 西野神社の人形供養
<出所:西野神社>
漫画日本昔話の木仏長者
<出所:http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=105> <出所:漫画日本昔話データベース>