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WBC決勝戦、「バーチャルお茶の間」出現を目撃

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佐々木さんは街角で目撃されたそうですが、僕も発見しました。新旧メディアが接触する瞬間を:

WBC決勝戦、街頭テレビとワンセグを握り締める人々、新旧メディア接触を同時に目撃 (平凡でもフルーツでもなく、、、)

皆さんもうご存知ですよね。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第2回大会において、日本が2連覇を達成しました。試合は日本時間のちょうどお昼前後に当たっていたため、佐々木さんが遭遇されたように、あちこちの街頭テレビや飲食店内のテレビに人だかりができていたようです。で、佐々木さんは

街頭テレビ(今回厳密な意味ではちと違いますが)とワンセグを握り締める人々、新旧メディア接触を同時に目撃して、何か不思議な感じがしたので、少し早めにオフィスに戻り急いでこのエントリを書いてしまいました(苦笑)

と書かれていますが、僕の場合の「新旧メディアの接触」は、「新」が Twitter で「旧」がテレビでした。

試合が延長戦にまでもつれ込む緊迫した展開だったためか、Twitter のタイムライン上には「やったー!」「やられたー!」などの言葉が度々出現し、ときには関連コメントで画面が埋まってしまうほど。中には詳細な実況中継(「ただいま日本○点×韓国○点、1死満塁」などといった具合)をされている方もいらっしゃって、ニュースサイトのテキスト速報を見るよりも速いぐらいでした。そして優勝が決まった瞬間の歓喜の嵐……以前から2ちゃんねるの実況中継というものが存在していましたが、それと同じような状況が Twitter 上に生まれていたように感じます。当然ながらタイムラインに流れるのは「フォロー」という形で友人登録したユーザーの発言だけで、「@付き発言」でユーザーを特定した発言もできる、といった違いがあるわけですが。

先日のNHK特番で「テレビはお茶の間の主役であり続けるのか?」という問いかけがなされていました。それに対する意見の1つに、「そもそも『お茶の間』という概念・状況自体が廃れつつあるのではないか(なのでテレビが以前のような力を持ち続けるのは難しい)」という回答があったのですが、個人的にも従来の意味での「お茶の間」というものは少なくなりつつあると思います(それが完全に消え去ることは無いと思いますし、ごく少ない時間であるからといって「家族が一堂に会する時間」の重要性が薄まるわけではないと思いますが)。しかしお茶の間を「知人・友人が同じ空間や状況を共有し、コミュニケーションする場」と少し広く定義するなら、今回の WBC 決勝戦がきっかけで Twitter 上に出現した状況は、「バーチャルお茶の間」とでも呼べるものだったでしょう。であれば、そこでの「主役」の座を狙っていく、という戦略もテレビにとって考えられる将来像の1つではないでしょうか。

例えば米CNNでは以前、「サイト(CNN.com Live)でオバマ大統領就任式のライブ中継を見ながら、Facebook のステータスをアップデートして、友人達とオンライン上で意見交換できる」というイベントを実施しました。単なる掲示板の設置(見知らぬ人々が匿名で書き込む)とは違い、SNS上の友達とコミュニケーションできるという点で、これも「バーチャルお茶の間」を創り出すものと言えるでしょう。これはごくシンプルなやり方であり、他にも様々な手法が考えられるはずです。

コミュニケーションのあり方や、メディアのあり方といったものに変化はあれど、人が何かに興奮したり、感動したりして他人とそれを分かち合おうとすることは変らない。それを強く感じたWBC決勝でした。

< 追記 >

そうそう、「本家実況空間」の2ちゃんねるですが、WBC優勝のパワーの方が上回ったようです:

WBC優勝にわくネット 2chサーバも落ちる (ITmedia News)

「世界最強」の2ちゃんサーバを落とすとは、今回の盛り上がりの程がうかがえますね。

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