おじいちゃん・おばあちゃんはいりませんか?
うちの娘はジィジ(おじいちゃん)が大好きです。実家に遊びに行くと「ジィジの子になる!」と言って帰るのをイヤがるほど。恐らく両親よりも、数倍は祖父母の方が好きなんじゃないかと……けど僕も子供の頃、おばあちゃんが大好きだったので、致し方ないと思ってあきらめています。考えてみれば、忙しい両親と違って、おじいちゃん・おばあちゃんはずっと自分の相手をしてくれる存在ですからね。大好きなのも当然でしょう。
しかし言うまでもなく、最近はおじいちゃん・おばあちゃんと同居する家族というのは減りつつあります。それ以前に、少子化などにより孫そのものがいない人も増えているでしょう。そこでフランスでは、こんなサービスが登場したのだとか:
■ かわいがってくれるおじいちゃん、おばあちゃん募集!(nikkei BPnet)
1998年に設立された「代理祖父母と代子」という団体について。名前から分かる通り、「代理の」祖父母、つまり義理の祖父母と孫の縁組をあっせんするサービスを行っているそうです。養孫縁組希望者(小さな子供の親、もしくは50歳以上の人物)は、年会費30ユーロで協会に登録し、書類申請と事務局による面接の後に条件に合致する祖父母・孫が紹介されるとのこと。紹介後は当事者同士で連絡を取りあうのに任せ、事務局は最低限の監視をするのみだそうです。
おじいちゃん・おばあちゃんとなった人物は、一緒に遊びに行く、クリスマスや誕生日を一緒に祝う、プレゼントを贈るなど、「普通の」祖父母と同じ行動を求められるのだとか。確かに単なる一時保育をするだけなら、ベビーシッターあっせんサービスになってしまいますからね。そうではなく、本当に「おじいちゃん・おばあちゃんと孫」と呼べる関係を生み出すのが、この協会の目的だそうです。最近は時代を反映して、メールやWEBカメラで子供たちとコミュニケーションを取るサービスも始めたとのこと。
以前「おばあちゃん仮説」というものを聞いたことがあります。要約すると、「生殖機能を失った=生物学的には種にとって不要な存在」であるはずのおばあちゃんが、実は子供の子育てを手伝う(=孫の世話をする)ことで、種の繁栄に寄与する役割を担っているのではないかという理論。この「おばあちゃん仮説」に限らず、人間が生殖に適した期間の後も長期間生きることの理由として、「子供や孫の成長を手助けする」という目的があるのではないかと考える説は他にもあります。そう考えると、「孫・親・祖父母」という関係があることは、生物学的に見て自然なのかもしれません。
もちろん「核家族はいけない」「子供を生んで育てろ」などというつもりは毛頭ありません。人それぞれに大切にすべき価値観がありますし、僕自身も「都心に住まないと通勤に不便」という理由で親とは同居していません。しかし多様な世代とコミュニケーションを取ることは、小さな子供や高齢者にとって大きな価値をもたらすのではないでしょうか。その意味で、現在の社会のスキマを埋めるような「祖父母あっせんサービス」は、アイデアとして非常に面白いのではないかと思います。
ただ、いきなり「養孫縁組」というと重くなってしまいますから、「WEBを通じて様々な年代が交流できるサービス」という方が先に普及しても良いかもしれませんね。以前から「高齢者もブログを!」などということを書いていますが、WEB2.0的な仕組みが何らかのカタチでこの分野に貢献する日が来ることを願っています。