イノベーターになるためのブログ読法
先日、NHKスペシャルで Google が取り上げられていましたね(『グーグル革命の衝撃』)。残念ながら僕の感想は、Polar Bear Blog でも書いた通り「一足遅れの感が否めない」というものでしたが、番組以上に楽しめたのはブロガー達の反応です。僕と同じように「いまさらそんな情報?」という反応から、「ためになった」というもの、「なぜこのタイミングでNHKが Google を取り上げたのか」という分析を行ったものまで、様々な視点がありました。
以前のエントリでも書きましたが、多種多様な視点で物事を見れるというのは、ブログが与えてくれる価値の1つだと思います。1つの新聞や雑誌、テレビ番組を見ているだけでは、一定の思考パターンに陥ってしまうでしょう。また何種類かの新聞を読んでいたとしても、(仮に)新聞業界全体に通じるメンタリティというものがあったとしたら、そこから抜け出すのは難しくなります。しかし「ブログスフィア」には平凡なものから過激なもの、一見して誤りと思えるものから完璧に洗練されたものまで、幅広い意見が満ちていて、私たちに新しい「気づき」を与えてくれます。
話は変わって、先日「海外経験がイノベーターを育てる」という内容の記事を読みました:
■ Is Creativity a Foreign Concept? (MIT Sloan Management Review, Fall 2006)
INSEAD の William W. Maddux 助教授と Kellogg の Adam D. Galinsky 助教授の研究によると、難しい問題に直面した場合、海外経験(短期の旅行ではなく、少なくとも6ヶ月~1年間の長期生活)のある生徒は、そうでない生徒に比べ革新的な解決法を考え出す確率が高かったそうです。また「新しい経験に対してオープン」などといった性質を持つ傾向が強かったのも、海外で生活したことのある生徒だったのだとか。
その理由はなぜか。両教授の解説によれば、「海外生活によって、1つの事象が様々な意味を持ちうることを悟るため」なのだそうです。例えば「客先で食事を残す」という行為1つ取っても、フランスでは「食事がマズかったことを示す」悪いマナーとなり、中国では「食べきれないほど食事があったことを示す」良いマナーとなります。そういった違いが発生しうると気づくことは、1つのモノを様々な用途に用いる能力につながり、創造的な思考力が促進される……というわけです。
この「1つの事象に多面的な意味を見出す」というスキル、ブログを読むことでも同じ効果が得られるのではないでしょうか?前述の通り、ブログには多種多様な意見が満ちています。同じ「iPhone」や「NHKスペシャル」という話題に対して、様々な側面からアプローチすることが可能なわけです。数多くのブログに目を通すことができれば、物事を多面的に見る技術を磨くことができるでしょう。
そうなると、RSSリーダーなどを通じて決まったブログを購読するだけでなく、Google アラートなどのようにあるトピックを横串で見れるツールを利用すると便利ですね。また被ブックマーク数など、注目されているエントリを判断する基準を用意しておけば、効率的に情報を得ることができます。また話題のトピックについては、必ず誰かが「まとめエントリ」を作ってくれるというのも最近の傾向ですので(例えば前述の『グーグル革命の衝撃』については、こんなエントリがありました)、こうしたブログを利用するというのも1つの手でしょう。
長期の海外生活をするという経験はなかなか得られませんが、ブログならば簡単にチェックすることができます。そのうち「ブログを読んでいる時間とイノベーションを生み出す確率は正比例する」なんて研究が現れるのではないかと期待しているのですが、無理でしょうか!?