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経営資源の有効活用

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「自社の持つ経営資源を把握し、それを最大限活用すること」--戦略立案に携わっていた時にしつこく叩き込まれた原則です。それ以来、「現状でどんなリソースが存在しているのか、それは競合他社に対して優位性があるか、それを最も活かす方法は何か」の3つを常に考えるように心がけているのですが、今日のニュースでまさに「経営資源を活かす」という事例が報じられていました:

■ ヤマト運輸 機密文書溶解サービス -- 専用段ボール宅配便で回収(日本経済新聞 2006年4月18日朝刊 第9面)

プレスリリースへのリンクはこちら:

「クロネコヤマトの機密文書リサイクルサービス」開始のお知らせ(日経プレスリリース)

ヤマト運輸が5月に開始を予定している、「機密文書リサイクルサービス」についてのニュース。宅配便のネットワークを活用し、企業から不要になった機密文書を回収(ドライバーが訪問して集荷、1箱から対応)・専用段ボールに封印した上で、協力先の製紙工場に直接持ち込んで溶解処理するとのこと(利用料金は1箱1800円)。さらにユーザー企業は、インターネットから溶解処理がきちんと行われたかどうかを確認できるそうです。

ちょうど機密情報について企業の関心が高まっている時期であり、まさに時流に乗ったサービスと言えるでしょう。専用段ボール箱・第3者が開封すると痕跡の残るシールの準備など、一部新たな投資が必要なものの、ヤマト運輸にとっては既に所有している宅配ネットワークを活用するだけで始められるサービスです(おっと、溶解処理を行う業者との提携が抜けていましたね)。しかもインターネットを通じた荷物照会システムについても、ヤマト運輸は荷物お問い合わせシステムという仕組みを既に構築しています。

ヤマト運輸にとって最大の経営資源は、言うまでもなく宅配便ネットワークです。これを宅配便のために使っていても利益は上がりますが、競合他社も同様のサービスを展開している中では、安い価格でリソースを売ることを余儀なくされます。そこで新たなサービスをということになるわけですが、今回の「機密文書リサイクルサービス」は

  1. 機密情報の安全な処分という、成長が期待できる市場をターゲットにしている。
  2. 1箱からでも安価で対応可能な集荷ネットワークを活用して、十分な機密文書処理体制を持たない中小企業でも利用できるようになっている(最も利用頻度が高いと思われるセグメントをターゲットにしている)。
  3. ヤマト運輸というブランド力と、ドライバーが訪問して集荷が行える体制を利用して、機密情報という「誰もが扱えるわけではない」物品を対象にしている(すなわち参入障壁が高い)。
  4. トラッキングシステムを利用して、顧客のニーズ(機密文書の確実な処理)を上回る価値(安心感)を提供している。

という点で、優れた資源の活用方法なのではないでしょうか。

改めて指摘することではない、と言われるかもしれませんが、経営資源は有限です。しかし無限にあるかのように勘違いして、非効率な使い方をしているケースも多く見られます。
限られた資源をどこに・どう投入すれば最大の価値が得られるのか、またヤマト運輸のように自社のユニークな部分をどう活かすのかを十分に考える必要があると思います。

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