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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

国家資格キャリアコンサルタントという資格、取ったほうがよいですか?という質問に答える。

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「「キャリアコンサルタント」の資格を取ろうか迷っています。
お金もかかるし、取って仕事に活かせるかわからないし、どう思いますか?」

こういう相談を受けることが増えました。

まずはここで話題にされている「キャリアコンサルタント」とは何かを説明します。

職業能力開発促進法」という法律があります。2016年に大きく改正されまして、その中で、キャリアコンサルタントが定義されました。

関係あるところを引用します。

第三十条の三 キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とする。」

➡まずは、キャリアコンサルタントは、「私は、キャリアコンサルタントです!」と名乗って、キャリアコンサルティングを行うことができると規定されました。

では、「キャリアコンサルティング」とは何か?

第二条には、
「5 この法律において「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう。」

➡働く人たちの職業選び、キャリアプラン作成、そのための能力開発、能力向上について相談に応じ、必要に応じて助言や指導を行うことまでを差します。

「それ、誰でもやっているよね」ということなのですが、「キャリアコンサルタントと名乗って」というところがポイントです。

では、「キャリアコンサルタントと名乗るためには、何が必要か?」です。

「第三十条の十九 キャリアコンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備えるキャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、キャリアコンサルタントとなることができる。」

➡国家試験に合格すること、キャリアコンサルタント名簿に掲載されていること、です。
ということは国家試験に受かっていないのに、キャリアコンサルタントと名乗ってもいけないし、
国家資格に合格しても名簿に登録していなければ、国家資格キャリアコンサルタントとは言えない、ということですね。

さらに、名称独占で、

「第三十条の二十八 キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」


試験も受けていないし、名簿に未登録で、という人が、「私は、キャリアコンサルタントなんです」とか「私は、キャリア・コンサルタントしてます」とか、「キャリアコンサルタント士をしてます」などと、紛らわしい名称を使うのは、法律で禁止されています。

この資格は、さらに、5年ごとに更新することになっており、更新のためには、知識講習と技能講習を受講し、知識と技能のUPDATEを図らねばなりません。

現在、キャリアコンサルタントは、企業領域での活動がメインで、40%は、企業領域で働いているそうです。

これは、おそらく、人事や人材育成部門の方や育成に興味関心の高い方(必ずしも人事でなくても)などがたくさん取得されたということではないかなと想像しています。


年齢としては、ミドルシニアが多く、「50代女性」「40代女性」「50代男性」「60代男性」の順で多く、ここまでで全体の7割を占めているとか。
(情報> 「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」(2023年6月発表資料より)

取得については、養成スクールに通うのが一般的で、通学、オンラインなど選択肢はあるようです。また、スクールも複数ありますので、好きな先生がいる、とか、受けやすい、とか、金額が予算感と合うなどで選べばよいと思います。

だいたい30万円(中には50万円というスクールもあります)くらいかと思いますが、これが、国の「教育訓練給付制度」というのが使えます。

いくつか条件はありますが、厚労省サイトはじっくり読んでみましょう。
(画像をご覧になるとわかりますが、OracleやCISCOの資格や認定も一部対象のようです)


さて、前置きが長くなりました。

「取った方がよいでしょうか?」

という質問に対して、

「取りたいなら取ればよい」
「取りたくないならその時間とお金は別のことに使えばよい」

が答えなのですが、

もし、あなたが

「自分のキャリアに悩んでいたり、他者のキャリアに興味たあったり、他者支援をしたいと思っている」なら、取る!をおススメしますし、

迷う要因が、「お金」であるなら、「給付金」を使えば、かなり安上がり。
国家資格が10数万円で取れるなら、安いもんかもしれません。

迷う要因が、「これだけで食えるのか?」であれば、「たぶん、無理」ですけど、でも、たとえば、社内でキャリアの話をすることになった時、

「経験豊富な社会人(50歳)」と「キャリア理論などきちんと学び、国家資格というお墨付きを持っている社会人(45歳)」だったら、どちらに、そういうキャリア支援の仕事が回ってくるかといえば、間違いなく、有資格者でしょう。

先ほどの「職業能力開発促進法」を開いて、「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルティング」のワードで検索してみると、「キャリアコンサルタント」が活躍を期待されている領域は結構多く、もし、これが、推奨ではなく、義務化となった時、最強のカードとなりますよね。

たとえば、「●●をする際、できるだけキャリアコンサルタントを活用することとする」みたいな決まりが、「必ず、キャリアコンサルタントを活用することとする」となった時、有資格者が強い。

食えるか?という質問も、「何をするか」によると思いますけれど、企業領域で4割が活動していることを考えると、「人事や人材育成のプロ」と思うためにも、おすすめの資格です。


時々、「資格なんかなくても、知識もスキルも経験も豊富です」と言って頑張るケースを見かけますが、「それはどうやって証明するの?」とも思わなくもない。
特に、キャリアって、「私のキャリア」を語りがちな分野です。

専門的な学習をしている証明としての資格。強いと思います。


これで答えになっていますか?


ところで、2023年9月末時点で、とうとう7万人を超えました
半数が関東圏で活動しているようですね。


Voicyでも「キャリア」をテーマに色々お話してます。


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