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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「女性活躍推進」はいいんだけど、キラキラ事例にお腹いっぱいになることがある

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「女性活躍推進」。はい、いいと思います。

均等法初年度世代の私は、総合職という呼び方で男女均等に採用されたりして、同級生が様々な会社に就職したものの「会社が年末に作るカレンダーが"裸"なのよ。それを職場にも貼ってあるよのー、その"裸カレンダー"がっっ!」という、某生保に就職した友だちが本気で心の底から嘆いていたのを聴いた記憶があり(彼女は数年で退職し、転職した)、つまりは、30年前、まだまだ世の中、よく言えばおおらか、悪く言えば、「セクハラという言葉がなかったことをよいことに、セクハラもパワハラもなんとかハラも当然あったし、女性というだけで、言われない差別もたくさんあった」といった状況を経験したものです。


それは、1990年代でも続き、まもなく21世紀にならんという時点でも、提案に行くと、
「え?女性? 研修当日は、男性の講師でお願いします。女性のベテランより、新人でも男性のほうがいい」と面と向かって言われたりしたこともありました。(超大手企業)

そういう、「今じゃありえん!」をたくさん経験しながらも、ゆるゆると齢を重ねて32年くらい。

もうオフィスには「裸カレンダー」もないですし、「女性じゃなくて、男性で」と言われることもなくなりました。とても平和です。いいことです。

そして、女性活躍推進。

もっともっと女性が輝けるように、活躍できるように、ワークライフバランスも実現して!子育ても介護も自分の仕事も自己実現もなんでもかんでもできるようにしましょうや!と言われ、女性はさらにさらに輝くことが期待されています。

ま、それもいいです。

でですね。

「女性活躍推進のためのセミナー」みたいなものに参加すると、スピーカーがキラキラしていて、まぶしい。

「均等法なんてない時代から、男性と伍してやってきました!」
「女は!と言われないよう、とにかく、強い意志でやってきました!」
「親を頼りだけでなく、夫もきちんと教育して、家事も育児もできるようにして、そして、3人育てながら、役員になりました!」
「いろいろいやがらせも受けましたが、スルーしている内にここまで来ました!」

みたいな。びしっとシャネル風スーツ着て、ネイルして、ヒール履いて、カッコ良い。そして、勇ましい。

でも、だんだん「もうお腹いっぱいです」とげっぷ出そうになるんですよね。

そして、励まされるどころか、「もういいです」「そんなの無理です」「どこの世界の話でしょうか?」と思ってしまう。


私は、普通に生きていきたい。普通にふつうに仕事がしたい。


必要以上にキラキラしてなくてよい。

「女性活躍推進関連セミナー」「女性活躍推進関連講演会」

こういうのに、スーパーウーマンばかり出すのではなくて、(そうじゃないと集客できないのだろうけれども)
もっと普通の、各世代の女性たちが出てきてくれると嬉しい。

「毎日、ご飯のメニューを考えるのが大変で、ノイローゼになりそうだった」
とか
「ほこりで死ぬことはない、と嘯いてはみたものの、散らかった家に帰ると落ち込むから、片づけ本をたくさん読んで、本が増えた分、一層、家の中がごちゃごちゃした」
とか
「プライベートはプライベートに過ごしたいので、仕事は持ち帰らないし、土日に頑張らない」
とか
「デパ地下で買った総菜を並べるときの罪悪感」
とか
「いつまで仕事続けるのかなぁ、これでいいのかなぁ、と時々モノ凄く悩むことがある」
とか。

そんな誰もが感じそうなことを20代、30代、40代、50代に語って欲しい。
60代になってもまだ迷っている女性の話なんかを聴いて、「みんな同じなんだ」と感じるほうがずっと癒される気がする。(そんなことないのかな)

以前、あるワーママが、「VERYを見て落ち込んだ」と話していたことがあって、そりゃわかる!と思ったものでした。

あんなにきれいにしていられないし、家事も育児も仕事もなんでもスーパーすごくできないし、夫はあんなにイケメンじゃないし、自分も太り始めているし、どーしたらいいんだ!?と見れば見るほど落ち込むのだろうと容易に想像できます。

あれは、ファンタジーと思えば楽しいのだけれど(私は美容院で読むのが楽しみ)、自分と照らし合わせると、つらくなるというわけ。

女性活躍推進は、よいことなんだけれど、すごい人じゃなくて、ふつうの「市井の人々」である女性たちと話がしたい。そういう女性の話を聴きたい。

ふつうの人のほうが多いのだから、キラキラしてない人の等身大の事例を学びたいのであります。

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「働く女子の運命」という本に、「かつて28歳で定年という制度があった企業」が出てきます。アッと驚く社名です。

女性も何歳まででも働けるようになったのは素敵なことですね。

     


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