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アップル純正広告 iAd がアプリ開発者の救世主に - 驚異のクリック率11.8%,CPM 13300円

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7月1日に開始されたアップル純正広告iAdの驚異的な広告単価が明らか(元記事)になった。

iAdはiOS4に標準で組み込まれている純正広告で,iPhone4,iPhone3GS,iPhone3G,iPodTouchに限定(iPadのiOS4対応は秋以降になるようだ)が対象機種となっている。

すでに超一流の広告主(AT&T,ベスト・バイ,キャンベル・スープ,シャネル,Citi,ディレクTV,ゲイコ,GE,JCPenney,リバティー・ミューチュアル,日産,シアーズ,State Farm,Target,ターナー・ブロードキャスティング・システム,ユニリーバ,ウォルト・ディズニー・スタジオなど)が名を連ねており,予約だけで6000万ドル(約55億円)に達していると発表されている。

そして,勇気ある開発者がこのiAdから収入(Apple Storeからの初日通知)を公開して,その驚異的な収益性が明らかになった。開発者はJason Ting氏,アプリは「LED Light for iPhone4 FREE」(iTunesリンク)だ。

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これは開始初日の結果だが,1ドル90円換算でまとめると次のようなデータになる。

  • 無料アプリで,ダウンロードは約9,000件
  • 初日の広告収入は,12,350 123,500円 (仮に1ヶ月続くと370万円強)
  • eCPM(1000回閲覧あたりの広告収入)は,13,280円
  • 広告閲覧回数は,9,300回
  • CTR(クリック率)は,11.8%
  • CPC(クリックあたりの広告収入)は,112.5円

あくまでiAd開始初日だけのデータであり,ものめずらしさからのクリックが一定数ふくまれるため,このレベルが維持されるかどうかは疑問が残るが,それにしても信じられない数字のオンパレードだ。

Admobなど従来のサードパーティ広告配信ネットワークを利用した場合,eCPMは450円~1800円,クリック率は0.7~2.6%(元記事)と言われている。(私の知る限り,この上限数値は天井値で,実態としては低い方の数値に近い) 仮に平均値をとっても,iAd広告は従来と比較して,eCPMで11.8倍,クリック率で7.1倍,CPCで1.6倍と,その驚異的な収益効率が浮き彫りになってくる。

しかもこの金額はアップルが40%を徴収した後のものであり,iAdが広告ビジネスとしても特筆すべきパフォーマンスを示す可能性が高いことを示している。

ではなぜiAdはこのように高い収益性を可能としているのか?そのヒントはジョブズの言葉にあるだろう。「iAdは既存広告と異なりテレビ広告のようなイメージで,好きなアプリの操作をハイジャックしない」,つまりユーザー・エクスペリアンスを大切にした広告コンテンツとなっているのだ。

実際にジョブスがiAdを紹介している動画を見ると,その特性が見えてくる。

モバゲーやmixi,Facebookなどのソーシャルゲームと比較すると,競争過多と低収益性でアプリ・デベロッパーにとって鬼門だったiPhoneだが,このiAdの登場が非常に大きな福音となることは間違いない。そしてこれをトリガーに,さらなるiPhoneアプリが増加するのは確実だろう。

 
 

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Comment(4)

コメント

atsu

> 初日の広告収入は,12,350円 (仮に1ヶ月続くと370万円強)
「仮に1ヶ月続くと37万円強」ですよね!

初日の広告収入は 123,500円の誤りでした。すでに訂正いたしました。大変失礼いたしました。

TETSU

何やら新しい広告メディアの出現に期待してしまいますね。
Googleは検索結果に連動する広告で(それを最初にはじめたのはGoogleではないですが)新しいメディアになったように、携帯向けOS自体に広告機能を搭載するというのは何だか面白そうです。

検索連動では、誰でも少額から広告を出せるようにしたことで、破壊的なイノベーションとなったのに比べると
広告主は大手のみなのがちょっとひっかかりますが
露出方法についての新たなイノベーションが進む可能性と
無料アプリへの広告収入という、新しい経済環境が何をもたらすのか
きっと今想像していることよりも、もっと違ったことが起こる気がします。今後が楽しみです。

TETSU様
いつもコメントありがとうございます。
iADがターゲットしているのは完全に大手のみ,その意味でGoogleのロングテール志向とは一線を画していますね。広告料金はオープンにされていませんが一声100万ドルの噂もあり,かつ制作費用も相当かかるため,インタラクティブなCMというイメージです。
したがって企業サイドへのイノベーションというより,アプリ開発者の救世主としてアプリ・イノベーションを促進する効果が高いように感じています。

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