【書評】ソーシャルメディアマーケティング
オルタナブロガーの先輩でもあるモディファイ小川浩氏と,グランドデザイン&カンパニー小川和也氏のクリエイティブ・ユニット「オガワカズヒロ」によるコラボ作品「ソーシャルメディアマーケィング」を小川浩氏から献本いただきました。(実は出版元のソフトバンク・クリエイティブさんからも頂いていましたがサボっていました。すいません!)
感謝の意を表するとともに,書評を書かせていただきます。
著者独特の「マーケティングは戦争だ」という視点,それを前提とした論旨展開はアルファブロガーの間でもちょっとした話題になっています。そしてその対話で対照的に語られているのは「マーケティングは愛だ」というコンセプトです。
後者の代表的な著書として私が思い浮かべるのは佐藤尚之氏の「明日の広告」です。彼はこの中で「広告はラブレター」という味わい深い比喩を用いて,広告を信用しなくなった生活者への新しいコミュニケーションデザインのあり方を提言しています。(ちなみに,この佐藤尚之氏,いや,さとなおは僕の中学高校の同級生です。くわしくはこちら)
まあ,ラブレターを渡す彼女がもてる女性であれば,当然競争相手の男も出てくるしょう。ライバルの男もいろいろ工夫して彼女に愛を伝えるだろうし,彼女もどちらの愛を選ぶべきか真剣に考えるでしょう。
ここで大切なことは,最近彼女の諜報網が異常発達したため(笑),ウソ満載のラブレターやマッチポンプ的な演出が通用しない時代になったというではないでしょうか。その点についてオガワ氏はもちろんのこと,佐藤氏も,アルファブロガーの皆様も想いは全く共通しています。その上で,彼女の心をつかむためのテクがどの程度まで許されるかという点にはまだ議論の余地が残されていますが,それも時代とともに生活者主導の空気感によって定まっていくでしょう。
前置きが長くなりましたが,私自身は小川浩氏がいみじくも「はじめに」でも触れられているように,ジャーナリストではなく,ソーシャルメディア・マーケティングをお客様ととも体験し,試行錯誤しながら創造する立場です。したがってオガワ氏の実践的な考え方,経験則に基づくソーシャルメディアへの取り組み方には学ぱせていただく点が多くありました。
「ソーシャルメディアマーケティング」という雲をつかむような広くてあいまいなテーマの中で,いかに実用性の高い情報をまとめあげるか,そのためにいかにわかりやすい論旨展開で進めていくべきか,ずいぶんと苦労されたのではと感じました。経営者として多忙な中,クオリティの高い書籍を仕上げるのがどれほど大変なことか身にしみてわかっていますので。お二人に本当にご苦労様でしたと言いたい気持ちです。
ちなみに内容的には多々参考になる点がありましたが,特に事例が豊富な点が役立ちポイントだと思います。成功事例はもちろんですが,まだ完結していない事例,十分成果をあげるにいたっていない事例,さらにはご自身の苦い体験事例まで触れられており,美辞麗句を並べるだけの書籍にはな実践者の迫力を感じました。
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