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内閣支持率調査からも分かる、「依らしむべし、知らしむべからず」から、「国民の叡智を信頼する」への転換

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やや古い記事ですが、2011/12/26の日本経済新聞に「内閣不支持率が5割を超えた」という世論調査の結果が掲載されていました。

内閣支持率は11月末の前回調査から15%下がって36% 。不支持率は14%上がって53%。記事ではその理由を分析しています。

■福島原発事故の原子炉冷温停止状態を受けて、政府が事故収束を宣言したことについて →「納得できない」78%、「納得できる」12%

■消費増税で、10年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる政府案について →「賛成」38%(7%下落)、「反対」53%(6%上昇)

■消費増税の関連法案を来年3月までに国会に提出する政府方針について →「支持する」38%、「支持しない」52%

この結果は、どのように考えれば良いのでしょうか?

 

ちょうど同じ日、同じ日本経済新聞に、「核心 強い人々と弱い指導者と――媚びぬ政治問われた1年」というコラムが掲載されていました。

---(以下、引用)----

日本の人は政治家が思うほど弱くも無知でもない。いたずらに媚びるより賢明な政策を進めることが大事、と被災者らが教えているように思える。それは財政再建などの問題を考える際のポイントだろう。

(中略)

旧日本軍に関する名著「失敗の本質」は参謀本部が独善に陥り、外の声を無視した点を敗因の一つに挙げる。悲しいかな今日のリーダーたちに当てはまる。

(中略)

本紙の世論調査では、消費税の10%への引き上げを支持する人が38%、反対が53%で、以前より反対が増えた。「増税の前にすべきことをしないから」という向きが多いのだろう。

(中略)

1990年代初め、旧ソ連向け輸出の急減で経済・財政危機に陥り、見事に復興したのがフィンランドだ。グスタフソン駐日大使は「失業率の上昇や倒産の増加もあったので、政府の改革方針を国民がよく理解した」と振り返る。人々の納得感が大事ということだろう。ゴルバチョフ元ソ連大統領が情報公開(グラスノスチ)をテコに改革を進めたのに通じる。

(中略)

「よらしむべし、知らしむべからず」はもう通用しない。痛みを伴う政策でも必然性が分かり、公正に素早く進められるなら賢明な市民は受け入れる。日本人を見くびってはいけない。

---(以上、引用)----

昨年10月22日の当ブログのエントリー「福島原発の問題は、これからが本番.... 田坂広志さんの日本記者クラブでの講演『福島原発事故が開けた「パンドラの箱」』(講演動画+資料)」でご紹介した田坂広志さんのご講演でも、田坂さんはご講演を以下の言葉で締め括っておられました。

『政府は、ともすると「依らしむべし、知らしむべからず」となっていた姿勢から、「国民の叡智を信頼する」という姿勢に変わるべき時期ではないか』

今回の内閣支持率調査でも、日本全体が変わるべき時期に来ており、実際にゆっくりと、しかし確実に変わりつつあることを如実に感じます。

 

 

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