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プログラミングでメシが食えるか!?

執筆作業の進め方

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このところ、オルタナブログメンバーの中で執筆熱が高まっていまして、永井さんが自費出版の経緯を詳しく説明されていましたが、まもなく8冊目の著書「プログラミングでメシを食わせろ!!」が発売になるということで、私は出版社との進め方を紹介してみましょう。

「きっかけ」
私の場合は個人のホームページでC言語講座を書いていたのを、出版社の編集担当の方が見つけ、「その内容をベースに本にしませんか?」とお誘いのメールをいただきました。一度編集の方と喫茶店で相談し、やりましょう、と書き始めたという感じです。ちなみに、その編集担当の方は現在、アットマークアイティ・モノイスト編集長の方です。

「方針決定」
1冊目はホームページのC言語講座をベースにしましたが、2冊目以降は編集の方と、「こんな本を書きたい」「こんな内容はどう?」とかいう感じでメールのやりとりで、目次のようなものを作って検討します。私の場合は自分で書きたい内容を書くことが多かったのですが、入門書や解説本ですとある程度編集の方からこう書いて、と言われる気がします。

「出版契約」
1冊ごとに出版契約を結びます。印税の取り決めなどもここに記載されます。

「執筆」
方針が決まると、ひたすら文章を書きます。レイアウトなどはプロの方が担当するので、著者としてはとにかく文字が命です。図を入れる場合は図の準備もある程度相談しながら自分で行う必要もあります。出版社側で本のボリュームを想定していますので、それに合うようにがんばります。大抵足りずに苦労すると思いますが、たまに書きすぎて削ることもあります。私の場合は以前はHTMLで書いてましたが、最近は文章が中心なので単純なテキストで書いてます。書きながら編集の方に見ていただくためにメールやWEB経由でデータを渡します。出版契約は大抵3ヶ月で完成すること、という感じで期間を区切られるので、結構がんばらないと後半に辛くなります。本業が他にある状態で執筆するのは結構大変で、もともとネタを蓄積しておくか、毎日少しずつでも進めるのがポイントです。私は帰りの電車の中でかなり書きます。

「校正」
一通り書き終えたら、まずは通して読み直し、誤字脱字や、言い回しが変なところを直しておきます。後になるほど修正は面倒になります。大体OKかな、という頃に、レイアウトした結果をPDFでもらい、画面で確認します。レイアウトされると意外と気になる点がまた見えてくるので、重要な作業ですが、PDFを画面でチェックするのは意外と疲れます。その後、紙面での校正を行います。紙面まで行ってしまうと修正は紙に赤入れとなり、大幅な修正はやりにくくなります。平行して、まえがき、あとがき、著者紹介なども要求されますので、書きます。校正が終わると一応著者としての作業は完了です。

「完成」
大体2週間くらいで見本誌ができあがるので、受け取りに行きます。実は編集の方と顔を合わせるのはこの受け取りのタイミングぐらいで、普段は全てメールのやりとりです。こんな内容で良いのかいな、と思っていても、ちゃんと本になるとそれっぽく、うれしいものです。その後1週間くらいで書店に並びます。最初は平積みに置いてくれることが多く、書店によってはポップを立てて宣伝してくれることもあります。自分の著書を立ち読みしている人を見かけると思わず声をかけたくなりますが、恥ずかしいのでやめておきます。

「印税」
契約によりますが、大抵は初版保証というのがあり、初版のうち半分くらいの印税を完成時に受け取れるようになっています。その後は3ヶ月あるいは6ヶ月ごとに、初版保証分を超えてその期間に売れた分の印税がもらえます。Amazonの販売ページを見たり、書店の売れ行きランキングを見たりするのも楽しいのですが、大抵は思っているほど売れませんので、がっかりするかも知れません。Amazonなどでは書評を書いてもらえますが、これまた批判が続くと暗い気持ちになります。が、出版社としては批判がたくさん出るくらいの方が当たりと判断するようで、一番駄目なのは何の反応もない場合だそうです。

「活用」
技術系の本で印税生活などまず無理ですので、印税を当て込んでいるとがっかりします。書く労力を考えると、本業で稼ぐ方がはるかに効率が良いと気付くかも知れません。しかし、永井さんも書かれていますが、著書は名刺代わりにとても役立つのです。初めての方に著書を渡すと、こんなことをやっていると話すよりはるかに具体的に知ってもらえますし、今のところ著書を出している人は少ないので、何となくインパクトを与えることができます。無名の中小企業の場合は社名より著書の方が営業効果があるくらいです。もちろん信頼は個人より会社ですが。親兄弟も大抵びっくりすると思うので、自己満足もできます。難しい資格取得を目指すより自分のノウハウを著書にまとめる方が、私としてははるかに楽ですし喜びも多い感じがします。

「継続」
執筆中は頻繁に編集の方とやりとりするのですが、終わると印税が入ったタイミングで挨拶するくらいになってしまいがちです。せっかく本を書くチャンスに恵まれたのですから、また次も、と考えなければ罰が当たります。編集の方の迷惑にならない程度に情報交換したりしてコミュニケーションを継続し、次に向けたアイディアを練りましょう。

「絶版」
技術書、特にIT関連の内容ですと、業界の変化も速いため、数年で絶版になる本が多いのですが、出版社の方針により基本的には決まります。絶版になっても諦めずに改訂版を目指してみましょう。

「まとめ」
結構長くなりましたが、書いて損はなし、と言うことは間違いないと考えてます。私が本業の事業をここまで持って来られたのも、多くの方と知り合って様々なコミュニティに参加させてもらえたのも、著書のおかげというのは間違いありません。批判されたりいろいろと嫌な思いもするかも知れませんが、それも勉強の一つです。ただし、何も持っていないのに書くことはできません。日頃から自分ならではのノウハウを蓄積することが大切です。また、出版社は売れる見込みがない本は当然作りません。その場合は自費出版を選ぶことになるでしょう。

これだけ長く書くなら数日で分割すれば良かったですね・・・。

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