これまで、以下のエントリー(文章技術:句読点の打ち方)で句読点の打ち方について検討してきましたが、読点(テン)の話ばかりで句点(マル)については説明していませんでした。そこで今回は、句点の打ち方の基本について見ていくことにしましょう。

 なお、今回の「基本編」では実用文・ビジネス文書を対象とし、詩や小説などの文芸作品は扱いません。

【文章技術:句読点の打ち方】
読点を打つ日読点がいっぱい文の意味を変えてしまう読点

 ご存じのとおり、句点とは 文の終わりを示す「。」の記号 のことです。このように「文の最後に打つのがマル」という説明で済めばいいのですが、実際にはあといくつか知っておかなければならないことがあります。以下では、現代的なビジネス文書では「このように書けば問題なし」という句点のルールを示したいと思います。

 皆さんの会社でも、独自に「社内文書標準」のようなスタイルガイドを策定していると思います。また、学生や研究者の方であれば、レポートや学術論文を作成する場合には執筆要項などが定められていると思います。実際に文書作成するにあたっては、それらのスタイルガイドを優先して記述していくことになります。

 参考までに、学術論文の執筆要項の例として、生命保険経営学会のリンクを挙げておきます。なかなか充実しているので、興味のある方はあとで参照してみてください。

論文執筆マニュアル(生命保険経営学会)
 http://www.seihokeiei.jp/rt/rt02.html

 本稿を書いていてわかりましたが、句点のルールは検討してみると意外に複雑です。たとえば、段落末にカギ括弧 「 」、丸括弧 ( ) で囲まれたものがくる場合、句点を付けない流儀と付ける流儀があります。これはどちらかで統一するようにしてください。以下では、「句点のルール」の最後に「代替ルール」(句点を付ける流儀のほう)を「項番+a.」で示しています。

※ 以下の句点のルールおよび用例は、小川悟(2002/2012)を参考に作成していますが、大幅に改訂しています。

句点のルール (上段:説明 下段:用例)
1. 文の終わりに打つ。
10時から会議を開催します。
 
2. 文末が注釈の丸括弧( )で終わるときは閉じ丸括弧 ) のあとに打つ。
その件は説明済み(37ページ参照)。
NG: その件は説明済み(37ページ参照)
 
3. 「 」で囲まれた会話文には句点不要。[会話文だけで一段落の場合]
「個人金融資産が1,400兆円を超えた」
NG: 「個人金融資産が1,400兆円を超えた」。
NG: 「個人金融資産が1,400兆円を超えた。」
 
4. 段落末が会話文で終わる場合、句点不要。
~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」
NG: ~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」。
 
5. 段落末が会話文で終わり、役職名や注釈の丸括弧( )が続く場合、最後に句点は不要。
~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」(東海製作所・加藤社長)
NG: ~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」(東海製作所・加藤社長)。
 
6. 段落中(≠段落末)に(独立した)会話文がある場合、閉じカギ括弧 」 のあとに打つ。
 [会話文が段落中にある場合]
~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」。善後策はメインバンクと相談するという。
NG: ~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」善後策はメインバンクと相談するという。
 
7. 見出し、箇条書きの見出し、文書タイトルには句点不要。
箇条書きの見出し: 会社の目的 事業の内容 営業の状況
見出し:      高コスト体質「合理化」を相殺
文書タイトル:   会議開催の件(通知)
 
8. 文末が疑問符(?)または感嘆符(!)の場合、句点不要。
 そのあとに文章が続く場合、全角スペースを1つ挿入すること。
しまった! 組み込んだソフトのバージョンが古かった。
NG: しまった!組み込んだソフトのバージョンが古かった。
どうもおかしいな? そう感じて、わたしは会社の同僚に電話しました。
NG: どうもおかしいな?そう感じて、わたしは会社の同僚に電話しました。
【代替ルール】
4a. 段落末が会話文で終わる場合、最後に句点を打つ。
~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」。
NG: ~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」
 
5a. 段落末が会話文で終わり、役職名や注釈の丸括弧( )が続く場合、最後に句点を打つ。
~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」(東海製作所・加藤社長)。
NG: ~「合理化効果は、価格の下落で相殺されてしまった」(東海製作所・加藤社長)


 実用文・ビジネス文書を対象とした場合の、知っておくべき句点の打ち方は上記でほぼ網羅していると思います。ただ、困ったことに小説などの文芸作品では、上記のルールがあてはまらない場合があります。詳細については、次回のエントリーで説明することにします。

────────────────────────────────

【参考文献】
小川 悟(2002/2012)『これは便利! 正しい文書がすぐ書ける本』日本経済新聞社 / 日経ビジネス人文庫 
▼これまでのエントリーでも紹介しましたが、最初の一冊としてオススメです。最近文庫化されたこともあり、入手しやすくなりました。第3部「書き方用例編」の冒頭に句点の打ち方が記載されています。
 http://www.amazon.co.jp/dp/4532310032/
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/453219623X/

 Photo  51lmceo6dtl


【関連リンク】
読点を打つ日 【文章技術:句読点の打ち方】|エディテック
 http://blogs.itmedia.co.jp/editech/2011/11/post-9b7e.html
読点がいっぱい 【文章技術:句読点の打ち方】|エディテック
 http://blogs.itmedia.co.jp/editech/2011/12/post-c109.html
文の意味を変えてしまう読点 【文章技術:句読点の打ち方】|エディテック
 http://blogs.itmedia.co.jp/editech/2011/12/post-b4fc.html

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コメント
入江慎吾 2012/02/24 16:13

あまり、こういった記事をみかけたことがないので、勉強になりました。自分のブログでも参考にしたいと思います。

川月 2012/02/24 19:57

入江慎吾さん、コメントありがとうございます!

たしかに、読点の打ち方について書いた本は多いのですが、
句点について取り上げているものは少ないですね。
次回エントリーも鋭意呻吟中です。ご期待ください ^^

sasa 2012/03/01 21:59

私の場合、基本ルール以前に自分の中で統一していなかったことに気づきました。
特に「」を使った文章で。
ありがとうございます。
コメントを書くだけで緊張してしまいました。

川月 2012/03/02 22:00

sasaさん、コメントありがとうございます!
多少なりともお役に立ったようで何よりです。

今後も、お気楽にコメントしてくださいね。


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