本とことばと明日のこと。

ブリタニカ百科事典は死なず。 【辞書・事典】

»


 先日、世界中を「ブリタニカ百科事典の書籍版の出版は終了」というニュースが駆け巡りました。海外メディアは大ニュースっぽく扱っていましたが、日本ではそうでもないようです。

関連記事WSJ日本版TechCrunch JapanCNN.co.jpITmedia

Eb2010_img 写真:ブリタニカ・ジャパン

 その理由は明らかで、ブリタニカ・ジャパンのサイト見ればわかるとおり、すでに日本では "英語版ではない日本語版の" ブリタニカ百科事典の書籍版は存在しないからです。だから筆者のような辞書・事典好きな人には「それが何か?」状態だったりします。
Pkg_enc2009_dvd
 類似の "事件" でショックだったのは、マイクロソフトのビッグプロジェクトだった「エンカルタ総合大百科」の販売終了です(Microsoft、オンライン百科事典「MSN Encarta」終了)。まあ、こちらはマルチメディア製品(CD-ROM販売)だったのでちょっと毛色が違いますが、あれだけ大宣伝していたものがなくなってしまうというのはさびしいものです。さすがのマイクロソフトもWikipediaにはかなわなかったということでしょうか。たしかにWikipediaは便利なのですが、自己責任(At your own risk)で使わないといけないのが難点です。
 ちなみに、日本版エンカルタの初版は「エンカルタ 97 エンサイクロペディア」という名前で1998年に販売されました。そういえば、当時(たしか95年頃)エンカルタの日本版のローカライズ業務を手伝ってくれる会社を日本のマイクロソフトが大募集したのを思い出しました(残念ながら、お手伝いはできなかったんですが…)。

 さらに昔話をすると、昭和30〜40年代頃、百科事典は訪問販売で一般家庭に売られていました。そういえば、我が家にも玉川大学の『玉川児童百科大事典』(全30巻)やら、平凡社の百科事典(これは "間違って買った" 人から譲り受けたものだったような気がします)がありました。Yahoo! 知恵袋にはこんな情報「元ブリタニカ百科事典のトップセールスマン(女性)が、年収4000万円もあったそうですが…」がありましたが、あながち嘘ではないと思います。
 
 ちょっと脱線しましたが、日本の百科事典もブリタニカと同様の状況だと思われます。たとえば、小学館の百科事典『日本大百科全書(ニッポニカ)』も辞書・事典サイトの「ジャパンナレッジ」に収録され、オンライン検索できます。小学館から正式な発表はありませんが、おそらく書籍版は今後登場しないと思います。
 あと、事典と言えば平凡社。平凡社の『世界大百科事典』全34巻も今後、書籍版が出るかどうかかなり疑問です。

実際のところ、筆者としては、書籍版は出さなくてもいいから、EPWING版のDVDで登場してくれるとありがたいのですが…。EPWINGなら辞書引きソフトの「Logophile」に取り込むことも可能です。

Lvdbr03120
 こういう状況を目にしていると免疫ができてしまって、百科事典の書籍版終了のニュースぐらいでは驚きません。ニュースでは「発刊以来244年の歴史に幕」と書き立てていますが、そもそもブリタニカ百科事典が死んだわけではありません。電子版は存続しますし、日本語版のブリタニカ百科事典を見たければ、ロゴヴィスタの「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版」があります。筆者も2011年版を購入し、辞書引きソフトのLogophileで愛用しています。

辞書引きソフトLogophileで「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版」を検索
Photo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2012 |LogoVista
http://www.logovista.co.jp/LVERP/shop/ItemDetail.aspx?contents_code=LVDBR03120


 Windows/Mac版の「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版」は1万超でちょっとお高いですが、書籍版(英語版は税別18万円)に比べたら実に安いものです。さらに iPhone/iPad版、Android版は現在キャンペーン中で2400円だそうです(通常は4800円。詳細はこちら:LogoVistaのキャンペーンページ)。

 Android版、キャンペーン中に買っておこうかなぁ。

────────────────────────────────

[追記 2012-03-15]
カシオ、シャープ、セイコーインスツル(SII)などから販売されている電子辞書にも「ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版」が収録されています。対応機種などについては、各社ホームページをご覧ください。
カシオ 電子辞書シャープ 電子辞書SII 電子辞書

Comment(2)

コメント

あとり

歴史のある辞書や事典というものは、
改訂するたび変わっていく内容の比較がかなり重要な使い道だったりしますよね。
ある言葉がいつ頃から使われだしたかとか、いつ頃から意味が変わってきたとか。
出版当時のスタンダードな知識であり解釈であるわけですから。
今後どう改訂していくのかわかりませんが、そういった記録をどう残すのかが気がかりです。

川月

あとりさん、コメントありがとうございます。
そうですねぇ、デジタルの時代になったのだから、紙幅の都合を気にせず情報は蓄積できるはずだと思うのですが。
さしあがり関連する動きとしては国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」があり、面白い試みだと思います。
http://kindai.ndl.go.jp/
アーカイブに関しては政府の文化行政の基本方針にも掲げられてますが、本気でやる気があるかどうか……。

●文化芸術の振興に関する基本的な方針(平成23年2月8日閣議決定)
「次代の文化芸術創造の基盤ともなる文化芸術作品,資料等の収集・保存(アーカイブの構築)を計画的・体系的に進める」
http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/housin/kakugikettei_110208/02-1-4.html
http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/housin/

コメントを投稿する