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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

ETCを取り付けよう

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新しいテクノロジーが登場したばかりの頃は、その動向を見守ることには関心があるが、僕自身はそれを受け入れる事に必ずしも積極的な方ではない。家ではまだブラウン管式アナログTVが健在だし、妻が運転することがあるとは言え車で遠出することは年に数回しかないので、ETC車載器も搭載していない。TV画面右上に表示される「アナログ」という文字が、早くデジタルTVに買い換えろと脅迫しているような居心地の悪さを感じるし、高速道路でETC以外のゲートの数が次第に少なくなっている不条理も感じている。

マーケティングの世界ではお馴染みの、Technology Adoption Lifecycle(「新テクノロジーが市場に浸透する過程」とでも訳すのだろうか)流に表現すると、僕はLate Majorityか、どうにかするとLaggardsに分類されるに違いない。要するに流行遅れでやっと新技術に移行するとか、最後の最後まで旧来技術にしがみつこうとする手に負えない輩といった具合だ。とは言っても確かに他所の家で見るTV画面は我が家のよりも鮮やかだと思っているし(これは単に機械が新しいからなのかな)、一時停止をせずに料金所を走り抜けるのはちょびっと爽快である。否定はしない。だけど僕に言わせるとたったそれだけの事なのである。アナログという表示を見続けることや、料金所のところで一時停止することを、大いに不便などとは思わない。本当は大仰にとらえて、新テクノロジーの恩恵をもっとありがたがるべきなのかもしれない。(もっとも、ブラウン管を液晶に置き換えれば消費電力が減ることはおそらく間違いないので、善良な市民であるためには、さっさとTVを買い換えるべきなのだろう。でも問題なく動いている電化製品を廃棄するのに抵抗も感じるのである。)

幸か不幸か世間はこういうどうしようもない人種を何とかして新テクノロジーに移行させようということに熱心である。僕のために(?)何だか申し訳ないような気分にもなる。ETC車載器取り付けの助成金がその典型であるし、5月の連休にはたまの遠出をするかもしれないので、高速道路の、「土日祝日1000円乗り放題」も魅力的である。これだけメリットがわかりやすいと、さすがに真面目に検討したくなる。と、いうわけで、遅ればせながらETCへの移行をするべく手続きを開始した。ところが同様の考えを持つ人間はかなり多いようで、車載器が売り切れて在庫が無くなっただの、取り付けサービスの受付を終了しただのといったニュースが聞こえてくる。僕の方は車載器の前提となるクレジット・カードの入手ですら、いつになるのかさっぱりわからない状況なのに。せめて連休に間に合って欲しいのであるが、多くの人がそう思いながら既に順番待ちをしているのかもしれない。ただ、今更のように車の利用を推進するかのような政策って、本当に正しいのだろうかとも思う。

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