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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

確定申告の話

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確定申告のシーズンがやって来た。最後に申告したのは10年以上前なので、手続きに関する知識は完全に失われている。別に必須ではないので放置してしまっても構わないのだが、娘の歯の矯正治療にかかった医療費を控除申請できるらしい。どちらかと言うと妻から与えられたミッションである。「そんなに言うなら自分でやっとくれ」という本音はさて置き、こういう事務作業は楽しくないし、ただひたすらに正確な情報を収集して計算しなければならないので、取り掛かる前から気が重い。僕はこういう作業は嫌いなのだ。

まずは手続き方法の確認からである。おっと思ったのは、さすがIT立国日本だけあって、インターネットで申請ができるではないか。頼もしいことこの上ない。ところが国税庁ホームページに目を通していると、事は単純ではないようだ。PCにはICカードリーダーが必要とあるし、それを入手するにも結構な手続きが必要である。一度きりの申告にいちいち投資はしていられないので、結局は紙による申告が必要である。用紙はインターネットからダウンロードして入手することができるようだ。わざわざ税務署に取りに行くのも面倒だから、自分でプリントして使う事としよう。

これでもアメリカで確定申告するよりははるかに楽だと思う。駐在していた頃には、会社が税理士を雇ってくれていて、申告書作成のための情報提供をすればよいようになっていた。ところが初めての確定申告の時にはこの質問書が30ページ以上もある立派なメモ帳のようになっていて、ただひたすらに数字を埋めていかなければならない。当然のことながら全部英語だし、金額は全部ドル換算しなければならないしで、メモ帳一冊を完成させるのに丸2日近くを費やした。必要経費の計算が日本よりもはるかに厳密で、家から会社までの距離だとか、月毎に実際に働いた日数だとかを記入しなければならなかったのである。おそらくこれは通勤用ガソリン代を計算するための根拠とするものだったのだろう。そして2日の間給与明細とか電卓と格闘した挙句のノート一冊分の情報が、たったのA4一枚程度の申告書に仕上がったのを見て、拍子抜けしたものである。そして中身がさっぱりわからないにも関わらず、内容の責任は申告者が負わなければならない事がどうも腑に落ちないままに、サインをして税務署に郵送したのである。

僕よりも先に駐在していた日本人の一人は何とかして経費を膨らませないかと思惑を巡らせていて、個人で購入したPCを仕事用だと称して経費計上しようと目論んだようであるが、これは税理士にあっさりと却下されていた。今考えてみると結構正当な発想だったかもしれない。その時は、どうせ世情に疎い外国人の確定申告なんて税理士事務所にとっては新人の仕事だろうし、リスクのあることなんかやらないんだろう、などといい加減に勘ぐったものだ。

もうこんな面倒な事を2度とすることはないだろうと思っていたのであるが、期待したとおりにはなかなかいかないものだ。丸2日もかからないだろうけど、週末はいつか観念して机にかじりつく覚悟をしなければならないようだ。

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