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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

お受験狂想曲の一歩手前

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最近は塾や進学教室の新聞折込みチラシがよく入るな、と思っていたら、どうやらその業界では新学期に向けた生徒募集に力が入っているらしい。学校の新学期は4月始まりであるが、進学教室の類は受験シーズンの終わりが学期の終わりなので、必然的に新学期は2月始まりなのだそうだ。単に進学実績を謳い文句にするだけでなく、無料模擬試験を実施して広く生徒を集めるところからそのマーケティング活動は始まるようだ。そして相談会と称して採点・講評をするに留まらず、子供の将来への希望を聞きながらしっかりと自社の優位性を説くというわけだ。だからこの市場は1年で最も「ホットな」時期を迎えようとしている。

昔は小学生が平日夕方から夜にかけて進学塾で勉強するなんてあり得なかったように記憶しているのであるが、昨今はお受験準備の開始時期は年々早まっているようだ。「僕が子供の頃はこうだった」などと言っても、それは単に「昔は昔」、の一言で片付けられてしまう。学校から帰ったら週に23度は夜まで進学教室に通い、さらに宿題までこなさなければならない。何も今からそんなにしごかなくてもと思う反面、ウチの子を出遅れさせて後で苦労させるのもやはりかわいそうだし、結局は進学教室の思う壺である。

先日とある進学教室の保護者説明会に出席して模擬授業を見る機会があったのであるが、確かに学校の先生よりも教える技術は上だと思った。講師は科目毎の専任なので、一人で全教科をカバーするのに比べれば、当たり前とも言える。話のテンポとか、生徒同士で議論させるように仕向けて行こうとする姿勢とか、これならば退屈とは無縁だと言える。

全国学力調査の結果が先日マスコミでも取り上げられたが、学力格差は約40年前に比べて縮まっており、さらに全般的には向上しているのだそうだ。う~ん、どうも僕の感覚とは違う。トップクラスはお受験熱にうかれながら、金に糸目をつけずに進学塾でせっせと学力向上に励み、一方ではゆとり教育と称して授業時間を減らしながら、全般的には学力低下の方向にあるのではないだろうか。時間の量ではなく効率なのだという議論もあるのかもしれないが、所詮は集中度と時間との積が学力であるはずだ。僕の感覚が間違っているか、全国学力調査結果のどこかに欠陥があるか、どちらかだろう。

子供の学力は、つまるところ親の経済力の反映だとよく言われる。それだけでなく、多くの場合、親の学力も試されている。子供が算数のテストで難しい問題に遭遇する時、そしてその正解に至る考え方が腹に落ちていない時は親の出番である。子供の尊敬を勝ち得るチャンスかもしれないが、下手をすると親の力の限界を露呈してしまうかもしれない。わかりやすく筋道立てた説明ができるだけでなく、時に忍耐強く相手をおだてたりもしなければならない。あ~学校の先生にならなくてよかった、とつくづく思ったりもするのである。

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