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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

宇宙船とハリウッド

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もうすぐ夏休み、などと浮かれているのは子供だけで、特に母親にとっては試練の夏休みである。我が家でも約40日間をどう過ごさせようかと、妻が頭を絞っている。プールや学習塾など、習い事に通わせれば結構日程を埋める事ができる。そして次に家族旅行など遊びに行く計画を立てる。当然それでも余るので、最近ハマっているのが、工場など色々な会社が持つ施設の見学である。入場料は無料であっても、内容は結構しっかりしたものが多い。各企業にとってもイメージを高める格好の宣伝の場であるから、それなりに金がかかっていることを感じさせる。ただし面白そうなものを拾い上げるのは結構手間がかかる。

乗るのは大嫌いだが、それを除けば実は僕は飛行機が好きである。羽田空港近くに飛行機の整備工場があり、事前に予約すれば見学できるらしい。飛行機好きの僕としては是非一度は行かねばなるまいと思って、何ヶ月も前から子供の夏休みに合わせて妻に予約を頼んでいたのであるが、残念ながら工場見学は平日のみ実施である。休日は工場は休みなんだから仕方ない。僕はしぶしぶあきらめることとした。

空の乗り物ついでではあるけれど、かつてフロリダのケネディー・スペース・センターで、アポロ宇宙船とサターン5型ロケットの展示を見学したことを思い出した。使用済みの実物らしく、一部焦げた跡が生々しい。地球に帰還する際の宇宙船内の居住空間はせいぜい三畳間程度のものなのに、ロケットの方は全長100メートル超・全重量2000トン超で、羽が生えていない巨大な鉄柱のようである。あんな塊を垂直に宇宙に向かって馬鹿力で打ち上げようと考えて、それを愚直に達成してしまうなんて、何とも豪快でアメリカ的である。それに比べれば飛行機なんぞ飛んで当たり前だ。(でも僕は乗るのは嫌いだ。)

スペース・センターの圧巻は、管制室から見るカウントダウンからアポロ宇宙船打ち上げまでの、わずか一分強の再現である。カウントダウンが進むにしたがって、様々なチェック項目をクリアしたことの報告の声が飛び交い、エンジン点火とその轟音が大きくなる。大人数が関わりながらも、整然と秒刻みの作業が進む。大規模なプロジェクトを一糸乱さずに推進する力に圧倒される。再現なんだから打ち上げは成功するに決まっているのだけれど、ハラハラドキドキの後に打ち上げ成功の声が聞こえると、観客の間から拍手が沸き起こっていた。確かに日本人の僕も思わず拍手したくなってしまうような迫力だ。意味もなくアメリカってすごいなと思わせる。

ちなみに日本ではどうかなと思って種子島宇宙センターのホームページを見てみたが割と地味である。ケネディー宇宙センターがハリウッド映画だとしたら、日本映画といったところか。でも一生に一度でよいから、本物のロケット打ち上げを生で見たいと思っている。

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