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日本は「巻き返す15年」で、世界と勝負できるか?

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日本経済は、30年ぶりに潮目が変わろうとしています。この変化の波は、国内投資、賃上げ、物価、株価など経済の基本要素に影響を及ぼしており、経済界と国民の間には強気と弱気の混在する状況が見られます。

しかし、この変化をただ受け入れるのではなく、日本が新たな経済社会へと構造転換を図る必要となっています。そして中長期的かつ大局的な視点から経済界のアニマルスピリッツを刺激することが重要となっています。

経済産業省は2024年3月22日、「第21回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会」を開催し、第3次中間整理で提示する2040年頃に向けたシナリオについての骨子を示しています。

その骨子のポイントを中心にとりあげたいと思います。

日本の将来の見通し

日本企業と国民の悲観の根本には、将来の人口減少に対する大きな不安があります。今後は、人口減少社会を前提とし、政府や企業、個人がこれまでの考え方ややり方を変え、新たな見通しを持つことが重要となっています。

理想を示すビジョンよりも、官民で共有できる実現可能なシナリオを提示し、変化と挑戦が企業の繁栄と国民の豊かさにどのようにつながるかを深掘りしつつ、定量化していく方針です。

時代の変化と「巻き返しの15年」

現在の日本の「潮目の変化(投資、賃金、物価、株価)」は、時代の転換点にあります。

国際経済秩序の変化、グローバリゼーションの時代から不確実性の高い時代への移行、世界的な人口動態の転換において、中国、欧州、韓国も人口減少フェーズに入っています。

日本は労働参加が高止まりしており、これまでの考え方ややり方で、これまでどおり当面社会は安定することが想定されます。

その一方で、実質賃金やGDPの成長は横ばいにとどまり、新興国に追いつかれ、海外と比べて「豊かではない」状況になっています。そうなると、社会の安定性すら失われる可能性があると指摘されています。

政府では、社会課題に対して、政府も一歩前に出て大規模・長期・計画的な投資などを支援する新機軸という考え方ややり方の重要性を示しています。

この新機軸により、国内投資・イノベーション・所得向上の好循環を継続すれば、人口減少下でも、一人ひとりの所得が増え、可処分時間が増加し、世界がうらやむ魅力的なサービスを利用でき、誰もが活き活きとする豊かな社会の実現を目指しています。

「人口減少」が加速するものの、これらの変化により、国内投資、イノベーション、所得向上にとって追い風であり、次の15年は「巻き返しの15年」となり、日本を劇的に変える可能性も期待されています。

世界の需要動向と日本の産業構造

世界の需要は、社会課題解決の価値化(GXなど)とデータドリブンでの新たな価値創出(DXなど)で拡大しています。

日本を含む人口減少地域は、物量は減少しますが、「良いものには値がつく」価格上昇を通じた需要増に加え、上述のような高付加価値化・新需要開拓によって需要が拡大しています。

食料・資源・原料の面では、輸入せざるを得ない日本は、世界でイノベーションで稼いでいく必要があり、課題先進国としての日本はチャンスとして捉えることもできます。

日本企業は、海外への輸出・投資をこれまで以上に拡大しつつ、「世界の創造拠点」として日本を位置づけ、世界中で稼いだ利益を国内に還流させ、国内投資・イノベーション・賃上げを継続的に拡大させていくといった展開が求められています。

その中で成長可能性があり、変化の主体たる中堅・中小企業、スタートアップの重要性が高まるとともに、こうした変化の主体が刺激となり大企業の変革も促すといった好循環が生まれる可能性も期待されます。

世界で勝負できるか

日本は、社会課題領域を中心に、高付加価値な製品・サービスを生み出し続けていくことを得意としています。

そのための経営・事業・製品サービス戦略立案や、最重要研究開発の拠点といった機能を、国内に保持・強化することが重要です。そのために世界中で稼いだ利益を絶えず国内に還流させつつ、さらなる将来投資の原資として活用するといった流れを作ることが重要となっています。

製造などの現場に眠る非構造化データを産業内で広く収集・分析し、現場を次の研究開発に活かす連携体制を確立することが必要です。そして、世界中から不可欠なものとして求められる製品・サービスを、国内外に提供し続けるグローバル拠点になるといった世界で勝負できる拠点としての位置づけを高めていく必要もあるでしょう。

生活の質を高める挑戦

デジタル技術を駆使し、個人に最適化されたり、時間や空間の制約を解放するような新たな製品・サービスが登場しています。

日本の生活、文化、コンテンツ力などを源泉として、インバウンド・アウトバウンドで高い価値を訴求することが重要です。そして、人手不足の供給制約をデジタル投資(AI・ロボットなど)で解消し、増加する需要を取り逃さずに充足させていくことも重要です。

求められるチャレンジ

日本は、国内投資の拡大(例えば、2027年度に115兆円の投資額を達成するスピード以上)の継続が求められています。

スタートアップや大学、研究所、人材育成を含むイノベーションエコシステムの強化も必要です。

構造的人手不足の時代には、より能力を発揮できる仕事に人々が移動していくため、企業は省力化投資を徹底し、賃上げを続け、柔軟な働き方でやりがいのある「良い仕事」を提供することが必要です。

企業が資金需要の主体となることで、財政の持続性を保ちながら、経済成長と国民の所得向上を実現することが期待されます。

政府は、民主導型経済への転換を目指し、新機軸の政策を継続する必要があります。民主導型経済が軌道に乗り、継続していくためには、政府は国の戦略投資として、インフラ投資や産業政策など生産的な政府支出の拡大を継続させることも必要です。

今後の展望

これらの取り組みを通じ、主要先進国並みの賃上げの継続で、所得が向上し(例えば、直近2年の国内の名目賃上げの継続)、さまざまな生活の質も向上することが期待されます。

新たなビジネスモデルの創出やイノベーションにより、国内外の市場での競争力を高め、経済全体の活性化につながるでしょう。

そして、持続可能な経済成長のためには、人口減少や国際経済の不確実性といった課題に対して、革新的な解決策を模索し続けることが必要です。その過程で、教育や研究開発への投資を強化し、次世代の技術やサービスを生み出す基盤を固めることが求められるでしょう。

日本は中長期的にわたり持続可能な成長と国民一人ひとりの豊かさの実現を目指し、政府、企業、個人が一丸となって新たな挑戦に取り組むことで、不確実性の高い時代においても、持続的な社会経済の形成が求められています。

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