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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

何らかの災害が起きたとき、たまたまそこに居合わせた一般人が事態をソーシャルメディア上で報告し、瞬く間に災害発生のニュースが駆け巡る――もはや珍しい状況では無くなりましたが、そうだからこそ、このプロセスをより効率的に行うことができないものでしょうか。例えば東日本大震災においても活用されたオープンソースのツール"Ushahidi"(ウシャヒディ)は、一般のユーザーから寄せられる情報を集約し、グラフィカルに表示することができるというもの。こうしたツール類が充実することで、災害時に一般の人々やソーシャルメディアの力をより有意義に活用できるようになるでしょう。

そして新たに、こんなスマートフォン用アプリが登場したそうです:

An App for Reporting an Emergency (New York Times)

災害時の連絡/情報入手を行うためのアプリ"Elerts"について。米マサチューセッツ州のある町で消防副署長を務めていたChris Russoさんの発案によるもので、要は現在「災害発生>ソーシャルメディアへの投稿>関係機関の状況把握」という流れになっている一般人からの情報を、「災害発生>Elerts上からの情報提供>関係機関の状況把握」という流れにしようというもの。スマートフォンの特性を活かし、GPSによる位置情報の付加や、写真によるレポートなども簡単に行えるようになっています。

ただそれだけなら、単に情報経路が変わっただけの話になってしまいます。このアプリが工夫しているのは、不正確な情報が送られてくるのを防ぐためボランティアによるスクリーニングが行われるという点と、公的機関の災害対策担当者に直接情報提供が行われるという点。もちろんTwitterなど一般的なソーシャルメディアを通じ、情報の監視・収集・精査を全て公的機関の責任で行うということも可能ですが、そのプロセスを支援および簡略化しているというわけですね。

さらに端末の位置情報を確認して、ユーザーに対しこんな形で災害情報を流してくれる機能も追加されています:

Elerts_3

さて、こうした「災害情報提供アプリ」という発想はどこまで定着するのでしょうか?個人的には、いくらプロセスが簡略化されようと、「多くのユーザーにElerts経由で災害情報を発信してもらう」という点で難があるのではないかと感じています。その最大の理由は「慣れ」の問題。今回の東日本大震災、また他の災害における情報発信の事例を調べていると、普段から使っているツールだからとっさに活用できたという意見を目にすることが少なくありません。災害という異常事態に直面したときに、普段は立ち上げることのない災害専用アプリのことを思い出し、操作を間違えずかつスピーディーに情報を投稿する――ちょっと考えただけでも難易度が高そうです。

ただ、公的機関への情報の流れを速く・確実なものにするという発想自体は素晴らしいと思います。その発想を活かすために、「入り口」の部分をどうするか。Twitterクライアント機能を追加/充実させ、普段使いのアプリとして頻繁に使ってもらうようにする、避難訓練的なテスト(とはいえ真実味のあるもの)を実施して使い方に慣れてもらう、あるいは(ちょっと間違った方向に進む危険性もありますが)Foursquare的に正確な情報提供に対する簡単な報酬を用意しておく等々、いくつか可能性はあるのではないでしょうか。

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小林啓倫

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小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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