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エジプトの反政府デモと、リアルタイム時代のリテラシー

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エジプトの混乱が続いています。Twitter、Facebookに対するアクセス規制ではとどまらず、ついにインターネット全体が(当然メールも)エジプト国内から利用できなくなったという情報まで。まずは何より、この騒動ができる限り平和裏に終結することを願います。

さて、昨日の記事で「今回の反政府デモを指揮している(と言われる)Facebookのファンページ/グループには、実際のところどんな情報が掲載されているのか」という点について、ごく僅かですが検証してみました。実はその際にもう1つだけ、興味を引かれたポイントがあります。それは情報交換している人々が行っている「ある工夫」です。

「ソーシャルメディアは革命の役には立たない」という意見の根拠の1つに、「流れている情報の質が低いから」というものがあります。例えば政府側が市民になりすまし、ニセ情報を流すということが考えられますし(これはプロフィールをチェックすることである程度回避できますが)、また騙す意図が無かったとしても、誤って不正確な情報を流してしまうことも十分にあり得るでしょう。特に最近、いくつかTwitter上で誤報事件があったことを思えば、この意見もある程度正しいと言わざるを得ません。

しかし私たちは、簡単にミスを起こしてしまうようなツールを、そのまま使い続けるほど学習能力の低い存在なのでしょうか?いや、そんなことはないはずです。例えば『リアルタイムウェブ-「なう」の時代』の中では、Twitterの位置情報や関連サービスの情報を組み合わせることで、現在進行形の事件について少しでも質の高い情報を、リアルタイムウェブの中から拾い集めたという事例を紹介しました。

そして今回のFacebook上では、こんな工夫が見られます。以下、昨日の記事でもご紹介した、"6th of April Youth Movement"という抗議団体のファンページグループ上から集めてきた文章です(※いずれもオリジナルはアラビア語で書かれているもので、Google Translateで英語に翻訳してあります):

Uncertain | Sheikh Zuwaid | heavy fire from the people and injuring two soldiers and 5 Officers

確証無し|Sheikh Zuwaid (※恐らく地名)|市民の側から激しい攻撃があり、2人の兵士と5人の警官が負傷した模様。

an almost certain: in front of the Foreign Ministry to control the gate of the ministry by the demonstrators and takes them off

ほぼ確実: 外務省の建物の前で、デモ隊がゲートを突破した。

immediate and certain: Witnesses of the people of Suez deny the descent of the army ...

緊急および確実な情報: スエズにいる人々からの目撃情報によれば、軍隊から攻撃されたという情報は否定された。

機械翻訳のため、おかしな文章になってしまっている部分はありますが、重要なのは文章の冒頭に「確実性」を示すコメントがあるという点。すべての文章にこうした評価が付けられているわけではないものの、頻繁にこうした工夫がなされているのを目にすることができます。これによって、閲覧者が情報を鵜呑みにしてしまうリスクを低くしようというわけですね。

もちろんこれによって、不正確な情報が広がることを完全に防げるわけではありません。そもそも情報発信者の思い込みで、誤った情報に「確実」というラベルを付けてしまうこともあるでしょう。しかしこうしたコメントを付けるという習慣があれば、情報の発信者と受信者、双方が「情報の正確性」という重要な要素に意識を回すようになるのではないでしょうか。それだけでも、リアルタイム情報の波の中で安易な結論に達しようとせず、一瞬立ち止まって「この情報を信じても良いのだろうか?」というチェックを皆でかけることができるでしょう。

何より重要なのは、大きな混乱の最中にありながら、人々がリアルタイムツールを少しでも工夫して使おうとしている点です。逆にそんな混乱状況だからこそ、新たなリテラシーを編み出すことが強いられているのだと解釈することもできるかもしれませんが、いずれにせよ人々の側が変化することで、現在指摘されているような「欠陥」は乗り越えられて行くのではないかと感じています。

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