AR(拡張現実)アプリ、スマートフォンの4台に3台が搭載する時代に?
モバイルAR(拡張現実)ブラウザの"Layar"が、韓国LG社製のスマートフォンにプリインストールされて出荷されることが決定したそうです:
■ Dutch Layar signs global augmented reality deals (Reuters)
実はLayarは既に、オランダ(Layarの拠点があります)国内でサムソン社のスマートフォン"Galaxy"にプリインストールされた実績があるのですが、今回は全世界でLG社のスマートフォンに搭載される計画とのこと。またサムソン社との提携の強化、香港のTCTモバイル社との提携なども同時に発表されており、さらに今後も有力メーカー/キャリアとの提携を予定しているとか。で、Layar社は「2011年までに全世界で新しく出荷されるスマートフォンの4台に3台がLayar搭載端末になる!」と強気な主張をしています。なかなか威勢がいいのですが、実際シンビアンへの対応も進めているそうで、アンドロイド・iPhone・シンビアン・badaと主要なスマートフォンをカバーする体制が整いつつあります。
ちなみにLayarのことを簡単に解説しておくと、「セカイカメラ」のようにモバイル端末で動くARアプリケーションで、さまざまな情報を現実空間に重ね合わせて表示することができます。ただセカイカメラとは違い、ユーザーによるメッセージ投稿よりもコンテンツプロバイダによるコンテンツ整備に力を入れていて、2010年6月の時点で3,500社がデベロッパーとして参加しているとのこと。彼らが開発するコンテンツは、まぎらわしいのですが「レイヤー(layer、階層のこと)」と呼ばれていて、ちょうどウェブブラウザでウェブサイトを見るようなイメージで楽しむことができます。
(Original uploaded by claudia.rahanmetan)
例えば上の写真は「カスパー」というレイヤーで、オランダ周辺地域のみが対象範囲になるのですが、空を飛んでいる飛行機にかざすだけで、その機種や出発地・目的地が分かるというもの。このようなコンテンツを楽しむことのできるARブラウザが、数多くのスマートフォンにプリインストールされて出荷される……決して「インストールベース=アクティブユーザー数」ではありませんが、ARの一般化に大きな一歩となることは間違いないでしょう。
セカイカメラも「セカイカメラZOOM」として、au携帯電話用アプリが間もなく公開されます。次第に市民権を得るようになれば、プリインストールされて出荷、ということになるかもしれません。いや、ぜひLayarに負けずに、AR界のインターネットエクスプローラー的な地位を占めるように願っています。
【○年前の今日の記事】
■ 米国のウェブも「残念」だけど、それを乗り越えようとする人々がいる (2009年6月24日)
■ 『隣人祭り』という処方箋 (2008年6月24日)