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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

理想を現実に移そうとすれば、何らかの摩擦は必ず起きるもの。従って「問題がある=失敗する」ではないと思っているのですが、今月に入って何度か触れてきた「スマートメーター問題」、米国だけでなくオーストラリアにも飛び火しているそうです:

Bill shock risk to smart grid (iTnews)

豪ビクトリア州において、電力会社が消費者からの批判に直面している件について。いったいどのような批判なのかというと:

They included being billed for meters that were yet to be replaced, higher bills caused by time-of-use tariffs that charged energy at higher rates in peak times, and short-changing of solar panel buyers.

Some consumers had resorted to civil disobedience by refusing access to their meter boxes for installation of the new equipment.

消費者からの批判の中には、「まだ置き換えられていないメーターの代金を請求された」「需要のピークタイムに高い料金を設定するTOU(時間帯別料金)により、請求料金が高くなってしまった」「太陽光発電パネル購入者が不公平な扱いを受けている」といったものが含まれている。

消費者の中には、電力計を新しいものにさせまいと、関係者が敷地内に入ることを拒むものまで現れた。

ということで、スマートメーターの導入、またそれに伴う料金制度の変更により、消費者のコスト負担が目に見える形で現れたという点が議論の引き金になっているようです(ちなみにビクトリア州は、オーストラリアにおけるスマートメーター導入の先進的地域であり、水道やガスといった他の社会インフラ業界も電力業界の動向を注視しているとのこと)。さらにまだ顕在化はしていないものの、懸念されているのが以下のポイント:

"We're now advocating strongly for it to be clearly outlined in regulatory tools in Victoria that the data belongs to the consumers."

Rayner said that without such protections, consumers may be charged to access their energy-use statistics, which could negate the price signals that lower consumption.

"How much of our energy and consumption belongs to us? If an aggregator gets in the market, who owns the information and what if they charge us to access that information?"

「ビクトリア州の関連規制において、『電力消費量データは消費者のものである』と明記することを、私たちは強く望んでいます。」

そのような規制がなければ、エネルギー消費データへのアクセスに対して料金が請求されるようになり、消費を抑制するためのプライスシグナルも効力を失ってしまうだろうとRayner氏(※"Consumer Action Law Centre"という、一般向けに法律相談サービス等を提供する組織の関係者)は主張している。

「エネルギーと消費量に関する情報のどの程度が、私たちに帰属しているのでしょうか?さらに情報のアグリゲーターが登場するようになった場合、誰が情報を所有するのでしょうか?彼らがアクセスに対して課金するようになったら?」

以前も「エネルギー消費データを誰が所有するのか?」という問題について触れたことがありましたが、ここでも同じ議論が行われようとしているわけですね。ビクトリア州では州政府、電力業界、および消費者団体の三者で話し合いを行うとのことですから、どのような結論に至るのか注目に値すると思います。

もちろんスマートメーター/スマートグリッドは単にコストだけがかかるものではなく、それに見合ったリターンがあり、長期的には消費者に対してもコストメリットをもたらす可能性があります。しかしそれが正しく伝えられ、さらに消費者も議論に参加できるような環境がなければ、デメリットのみが感じられてしまうのも仕方のないことでしょう。「どのような導入プロセスを採用するのがベストなのか」という点だけでなく、「どのようにPRしていくのがベストなのか」といった点も、今後重要なテーマになっていくのではないでしょうか。

余談ですが、ビクトリア州のスマートメーター整備に関していくつか関連記事を:

米Silver Spring社,オーストラリアの電力事業者から120万件のスマートメーターを受注 (Tech-On!)
オーストラリア:ビクトリア州で250 万軒を目標にスマートメーターの設置開始 ※PDFファイル (海外電力調査会)
Landis+Gyr wins Australia's biggest Smart Meter Rollout (Landis+Gyr)

【○年前の今日の記事】

オバマ大統領の施政方針演説、Twitter で実況される (2009年2月26日)
HD-DVD撤退から何を学ぶか? (2008年2月26日)
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アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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