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「劇場型」Twitter活用の是非

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昨日から日経産業新聞で、Twitter  の特集記事が組まれています(「クラウドが拓く 第2部 リアルタイムの衝撃」)。「Twitter 入門編」的な記事ではなく、かなり踏み込んだ内容ですので、興味のある方はチェックしてみて下さい。

さて、今日の記事の冒頭に、こんな箇所があります:

ソフトバンクモバイルが10日午前9時30分から都内のホテルで開いた新商品発表会。孫正義社長らが記者会見している舞台の裏側では、ツイッターで中継するため、放送作家が書き込み役の3人に指示を出していた。「はい、ノリカさん、そこでコメント」「次はお父さん、よろしく」。会見の間中、3人の掛け合いが激しく続いた。

「ソフトバンク」が新商品を説明し、CMに出てくる「犬のお父さん」と、初登場のキャラクター「ノリカさん」が感想を述べる。3人で役割分担し、うまく進行させるにはプロの放送作家の力が必要だった。

ということで、昨日実際に書き込みを読まれていた方も多いであろう、ソフトバンクの新商品発表会 Twitter 実況中継。実は放送作家さんによって作成された、あらかじめ決められたシナリオがあったことが明らかにされています。またこの「中継」を成功させるために、ソフトバンクは書き込み役3人を含む6人のチームを編成、原則として返信しないことを決めた上で、リハーサルまでして本番に臨んだとのこと。

実際にどのような書き込みが行われていたのか、確認したい方はネタフルさんでも紹介されていたリスト「@SoftBank/sb2009」をチェックしてみて下さい:

sb2009

さて、この「劇場型」とも言える Twitter の活用法、皆さんはどのように感じられたでしょうか。

あらかじめ決められたシナリオに沿い、返信もしないなら、一方通行の放送と同じじゃないか。Twitter を使う意味がない。

という意見もあると思いますが、個人的には企業による情報発信ですから、ある程度コントロールされた形で活用されるのは仕方ない面があると思います。また発表会に参加した一個人が「tsudaる」わけではなく、主催者側が公式に中継するのですから、きちんと準備した上でツイートを流すというのもある意味当然のことでしょう。「Twitter でやる話ではない、他でやれ」という意見に対しても、Twitter というメディアが注目されている以上、そこに乗り込んで情報発信するというのは正しい判断だと思います。

また放送的なスタイルで情報発信をするのであれば、企業としてもこれまでのノウハウが使えるので、Twitter もしくは Twitter に代表されるソーシャルメディアの活用を始めやすいという面もあるのではないでしょうか。さらに穿った見方をしてしまうと、上司の承認を得やすいという面もあるはずです。まずは一歩を踏み出し、自社に合ったスタイルを確立すること――まるで今朝の ITmedia さんに掲載されていた、コカ・コーラでの Twitter 活用事例のような話ですが、Twitter への入り口として、シナリオのあるツイートの配信から始めてみるというのも1つの手だと思います。

ただやはり「劇場型」の活用だけでは、Twitter の魅力は半減してしまうのではないかというのが個人的な意見です。一方的にセールス情報だけを告知するためのアカウントであれば話は別ですが、特に今回のようなキャラクターを表に出した形のアカウントであれば、フォロワーたちは彼らに何らかの反応を期待するはずです。発表会などの実況中継をする場合にはこのスタイルでOKだとしても、その前後の期間にはユーザーとのコミュニケーションを行うというスタイルに取り組んでいって欲しいと思います。

【○年前の今日の記事】

フラット化された世界+デジタルネイティブ=? (2008年11月11日)

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Comment(3)

コメント

tmp

そりゃ、金が儲かれば何でもいいって人にはいいかもね。
彼らが欲したのはtwitterを使用している人間で、twitterの機能じゃない。
ソフトバンクらしいやり方だ。実に。

longtail

公式企業広報型twitterもあって然るべきだと考えます。
公式と記者発表会場にいるメディアの方のtweetの内容のギャップを楽しめば良いのでは。

みなさま、コメントありがとうございます。

> tmp さん

うーん、感じ方は人それぞれだと思いますが、大企業の中にいる人間としては「ある意味当然だよなぁ」と感じるところがありました。だからといって誰もがソフトバンクを支持しろという意味ではなく、仮に彼らのやり方が人々から受け入れられないのであれば、自然に排除されていくのではないでしょうか。

> longtail さん

確かにギャップが楽しかった、という意見もあるようですね。個人的には、上でも書きましたが、(ウソをつくのでない限り)どのような活用法をしても、最終的には周囲の人々が判断することだと思います。

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