【書評】『ツイッター 140文字が世界を変える』
最近更新が滞っているので「何かあったのではないか」とウワサされているようですが(笑)、ウクライナに思いをはせているだけですので大丈夫です。と近況報告はさておき、いよいよコグレマサトさん、いしたにまさきさんの Twitter 本『ツイッター 140文字が世界を変える』が発売されました。さっそく読了しましたので、ちょっと感想などを。
これは本当に個人的な思いなのですが、Twitter本は何を第1章のテーマにするかで、その後の部分から受ける印象が大きく違ってくると考えています。スタンダードに「Twitter とは何か」という解説から始めるのか、それとも「Twitter でこんなスゴイことがあった!」というインパクトのある話から始めるのか。実用書なら、いきなり「Twitter に登録する」というところから始めてしまうのもありでしょう。
で、本書の第1章では何が語られているのか。実は「日本におけるツイッターの歴史」から始まっています。2007年の第1次ブームから「ヒウィッヒヒー」まで、主要な出来事が時系列で網羅されているのですが、これは実にうまいなぁと感じました。Twitter を始めたばかり、あるいはこれから始めようと思っている人にとっては、「なぜ Twitter が日本で話題になりつつあるのか」をすんなりと理解することができるでしょう。また以前から Twitter を使っている人にとっては、「そうそう、こんなこともあった」と改めて日本の Twitter 界を振り返ることができます。そして Twitter の盛り上がりを認識/再認識してから「じゃあ Twitter って何なんだろう?どう使えるんだろう?」という話に続くという構成になっているわけですね。
そして「Twitter とは何か、どう使うのか」という点については、良い意味でコグレさん・いしたにさんの主観から解説が行われています。実際にお二人が生活の中で Twitter を活用して、そこから得られたノウハウやアドバイス。それは「Twitter という現象」を外部から眺めて解説した文章からは、決して得ることができないものです。もちろん、お二人の使い方とはちょっと違うなぁという部分も出てくると思いますが、別に「Twitter はこう使え!」と命じる本ではありません。ちょうど Twitter 上で話しかける時のように、気軽に「お二人は Twitter ってどう思いますか?」と話しかけて、その答えを聞いているような感覚です。
もう1つ、これも個人的に良いなぁと思ったのは、第4章「ツイッターをビジネスで活用する」の内容。普通ならデルの事例でも取り上げて、その成功要因を分析する的な話になるところですが、本書では実際に Twitter をビジネス活用している人々(広瀬香美さんにまで!)にインタビューして、彼らの感想を紹介するというのが中心になっています。それがどんなものかは本書をお読みいただくとして、既に始めている人々の生の声が聞けるというのは貴重でしょう。ある意味で、どんな理論よりも参考になる情報だと思います。
ということで、小川浩さんの『仕事で使える!「Twitter」超入門』と同様、新書にもかかわらず参考になる情報の多い一冊だと感じました。もちろんどちらもお勧めできるのですが、部長が「Twitter って何だ!?」と騒いだら小川さんの本を、友人に「Twitter って何なの?」と聞かれたらコグレさん・いしたにさんの本を渡すと良いかもしれません。
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余談ですが、津田大介さんの Twitter 本『Twitter社会論』がアマゾンで予約可能になっていました。発売予定は11月6日。これでこの秋に発売される(発売された)本、発売日が確定したものだけで7冊になりました(残りの本についてはこちらにまとめてあります)。
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