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「新聞・テレビ絶滅危機」が新しい種を生む、という期待

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何か今年は同じような特集をあちこちで見ているような気がするのですが。ニューズウィーク日本版9月16日号で「新聞・テレビ絶滅危機」という特集が組まれています:

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 9/16号 [雑誌] Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 9/16号 [雑誌]

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TBSのブーブも注目するほどの特集だったようですが(笑)、全体的にはこれまでに報じられているような情報が多く、驚きというよりは「やっぱり苦しいんだね」と再確認させるような内容でした。扱われている事例も欧米のもののみ(これはニューズウィークという雑誌の性質上当然なのですが)。ただポイントとなる情報が一箇所にまとめられているというのはやはり便利で、目を通しておいて損はない特集だと思います。

個人的に、こんな予想が心に残りました。ダニエル・ライオンズ記者が書かれた記事からの引用です:

それでも、苦境にあるニュースメディアには思い切った手が必要だ。別のネット長者マーク・アンドリーセンは、旧メディアの多くが購読料を取り始めるとみる。

しかし、これは読者離れを招くだろう。広告主は読者や視聴者がいる場所へ向かうものだ。つまり、広告費は成り上がりの新参サイトに流れていく。彼らが本格的に稼ぎ始め、旧メディアから記者や編集者を引き抜いて独自のコンテンツを作り始める……。

日本で言えば、GIGAZINE が朝日や読売、毎日から記者を引き抜いて、ネット上のクオリティーペーパー的な存在を目指すようなものでしょうか。いずれにせよ、マスメディアの危機がソーシャルメディアに取っては一種の追い風となり、現状のソーシャルメディアとはまた違った存在のニュースメディアが生まれてくる……楽観的かもしれませんが、個人的にはこのシナリオが現実になることを期待しています。

以前、新聞社の方々とお話させていただいた時に、「従来型メディアはまだ高い取材力や編集力を持っている。それを新しい時代に活かしていければ」というような考えに至りました。それを各社が正しく使ってるかどうかは別の話として、情報発信のための専門スキルを彼らが有していることは事実でしょう。それがスムーズに新メディアへと移行されれば、社会にとってもメリットは大きいはずです。

最近、民主党政権の誕生を「(自分自身の)下野」にたとえた新聞社がありましたが、それならこのさい従来型メディアからも下野してしまって、いまの新旧メディアとはまた違った第三の道を模索するというのも手なのではないでしょうか。彼らには同じくニューズウィークの特集に登場する、こんな言葉を贈っておきましょう:

新聞業界の危機で最も直接的な影響を受けながら、楽観的な意見を持ち続けている人もいる。それはロッキー・マウンテン・ニュースのジョン・テンプル元編集長だ。彼はジャーナリズムの未来は明るいとみている。

「ロッキーが廃刊になったことは由々しき事態だと思う」と、テンプルは語る。「だが私は創造的な破壊の信奉者だ。今はジャーナリストにとって最もエキサイティングな時代。私は自分でブログを書いているし、ネット動画のような新しいマルチメディア技術も勉強している」

【○年前の今日の記事】

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