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「学校に持ち込まれなければOK」なの?

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子供とネット、子供と携帯電話の関係については様々な問題があり、このブログでも度々話題にしていますが、また新たな動きがありました。大阪府の教育委員会が、府内の小中高校に対して「携帯電話の持ち込みを禁止するように」という通達を出すそうです:

小中高校での携帯電話、原則禁止 大阪府教委方針 (asahi.com)

大阪府教委は3日、公立小中学校への児童生徒による携帯電話の持ち込みを原則禁止する方針を明らかにした。政令指定市の大阪、堺両市を除く市町村教委に年度内に通達を出し、徹底を呼びかける。府立高校でも校内使用を原則禁止する。文部科学省は携帯使用の校内ルールの明確化を求めているが、都道府県単位で一律に禁止を打ち出す例は「聞いたことがない」という。

方針に反した児童生徒の携帯は学校で預かることにする一方、登下校時の防犯上の理由などから保護者から希望があれば持ち込みを認める。

とのこと。「そもそも持つな」「取り上げたら返さない」、というわけではありませんが、都道府県単位での一律禁止・高校までも対象にした通達ということで、大きな反発が起きるかもしれません。

携帯電話をめぐって、様々なトラブルが起きていることは事実です。その対策として、フィルタリング的なものを実施したいという気持ちは心情的には理解できます。しかし今回の大阪府教育委員会の決定は、単に「学校には持ってくるな」というものであり、大きな効果が得られるとは思えません(たとえ「校舎の中から」学校裏サイトに悪口を書き込むケースが無くなっても、「下校途中で」「家に帰ってから」裏サイトに向かうということは当然防止できないでしょう)。穿った見方をすれば、これは「学校では迷惑を起こさないでくれ」という態度であり、根本的な問題解決を放棄したとも捉えられるのではないでしょうか。

子供にとっては、学校は社会生活を学ぶ重要な場面です。そこから携帯電話を排除するということは、逆に携帯電話とバランスの取れた付き合い方を学ぶチャンスを消し去ってしまう危険があるでしょう。大人になったら携帯電話が必要なくなるという世界ならば話は別ですが、「携帯電話を学校に持ってきて良い、ただし使う時のルールを徹底して指導する」という対策こそが、問題の根本的な解決になるはずです。

「そうは言っても指導できる先生もいないし、付き合いながら学ばせるというのでは時間がかかる」という意見があるのも分かります。僕の言っていることは、現場を知らない理想論に過ぎないかもしれません。しかし仮に「付き合いながら学ばせる」という方針を採用してみようという学校が現れた時に、そのチャレンジを後押しするような態度が教育委員会にあっても良いのではないでしょうか。少なくとも「とにかく府内の小中高校からケータイを閉め出せ!」という闇雲な態度だけは改めて欲しい、と感じた次第です。

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