メディアとしての Amazon.com
以前から噂になっていた、米アマゾンの電子ブックリーダー「Kindle」が間もなく出荷開始だそうです:
■ Amazon、電子書籍リーダー発表へ (ITmedia News)
それに関連して、Newsweek で詳細な記事が掲載されていました:
■ The Future of Reading (Newsweek)
実は Kindle はワイヤレス接続機能を持ち、ネットに接続して直接アマゾンから電子ブックを購入できるだけでなく、電子メールの送受信も可能(端末にはキーボードが付いている)とのこと。電子ブックリーダーというよりは、小型のコンピュータに近い存在のようです。
またジェフ・ベゾスが「これはデバイスではなくサービスだ」と宣言しているように、端末の性能以上に注目なのは Kindle を取り巻くサービスです。専用メールアドレスの発行、新聞の定期購読(タイムズ、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポスト、ルモンドの4紙が対応)などなど気になるのですが、個人的におおっと感じたのはこちら:
You can also subscribe to selected blogs, which cost either 99 cents or $1.99 a month per blog.
また選定されたブログを、1ブログあたり月間購読料99セント、もしくは1.99ドルで購読することもできる。
ブログの有料購読。どんな仕組みになるのかは分かりませんが、大きな変化が起きる可能性を感じます。もちろん「無料だから読んでいる」というブログも多いでしょうが、逆に「1ヵ月100円ぐらいなら払ってもいいか」というブログも多いはず。これまで「ブログでは(直接)お金を稼げない」という認識があったのは、ネットで簡単に課金する仕組みがなかったからで、お金を払う/集める/支払うが簡単にできるプラットフォームをアマゾンが提供するならば、「有料で購読するブログ」というものも十分あり得る話ではないでしょうか。
アマゾンはご存知の通り、個人(コンテンツの作り手)がアマゾンのストアに出品することをサポートしてきました(参考記事)。しかしフィジカルな本を出品しようとする限り、どうしても物理的な壁というものが残ってしまいます。一方、デジタルなコンテンツであればその心配は要りませんから、「個人が自分の書いたものでお金を稼ぐ」ということがより身近な行為となるでしょう。そのきっかけとして、「アマゾンであなたのブログの有料購読を始めてみませんか」と有力ブロガーにもちかける――そんなストーリーを、頭の中で勝手に描いてしまいました。
その想像が当たっているかどうかは別にして、新聞や雑誌に並んでブログの購読がサポートされているというのは、アマゾンが電子ブックの出品者として「個人」を念頭に置いている現れではないかと感じました。CGMの時代に電子ブックの時代が被さることで、アマゾンは新しいメディアの1つとして成長していくのかもしれません。
< 追記 >
ITmedia News でも第一報が出ていましたので、ご覧下さい:
■ Amazon、ワイヤレス機能つき電子書籍リーダー「Kindle」発売 (ITmedia News)