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「ウェブでご利用下さい」でいいの?

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「ウェブからご予約できます」「ウェブでご利用下さい」「続きはウェブで」などなど、ウェブはビジネスにとって欠かせない存在になりました。今日も新聞を読んでいて、いくつものウェブ活用事例を発見したのですが……天邪鬼な自分としては「逆にウェブを使わない方法を考える方が面白いんじゃ」と感じてしまいます。

確かに、ウェブは無視することができないチャネルです。お客様と双方向で情報のやり取りをすることができるし、コストが比較的小さくて済むし。「ウェブでこんなこと始めちゃいました!」というニュース性も狙えるし、何と言っても「お客様が望んでいるに違いない」という脅迫概念(?)があります。しかし「今の時代、とりあえずウェブ対応しときゃ上からは怒られない」という後ろ向きな発想もあるのではないでしょうか。またウェブにつぎ込んだコストと労力を別のアイデアに費やしていたら、もっと大きな効果が得られていた可能性だってあります。

先日もご紹介した本『社会が変わるマーケティング――民間企業の知恵を公共サービスに活かす』では、様々なサービスが活用できるチャネルとして、以下のようなまとめが掲載されています:

  • 物理的な場所(遊園地、郵便局、診療所などなど)
  • 移動施設
  • ドライブスルー
  • 顧客が買い物したり、食事したり、よく出入りする場所
  • 宅配・家庭訪問
  • 電話
  • ファックス
  • 郵便
  • 映像配信
  • キオスク端末・自動販売機

そして

  • インターネット

です。どれも当たり前のチャネルなのですが、当たり前すぎて検討の対象外になってしまっていないでしょうか。例えば「顧客がよく出入りする場所」では、こんな話が紹介されています:

2004年1月2日付けのシカゴ・トリビューン紙の見出しは次のとおりである。「短時間ですむHIV/エイズ検査をリスクの大きい人が集まる場所で実施……シアトル保健局の職員はゲイクラブに出かけて、採血し、20分で検査結果を出すという積極的な方法でHIV/エイズとの戦いに挑む」。この記事では、シアトル市とキング郡の保健局が、公衆浴場やゲイクラブで、すぐ結果の出るHIV/エイズ検査を始めたことを伝えている。

結果、この検査を行っていることを「ウェブサイトで」宣伝するクラブまで現れるほど支持を集めたとのこと。また最近、こんなニュースもありました:

ファミマで家事代行 16日からチケット店頭販売 働く女性や高齢者支援 (FujiSankei Business i.)

ファミリマートが家事代行サービス大手の「ベアーズ」と組み、店舗内の情報端末でベアーズのサービスが利用できるチケットを購入できるようにした、というニュース。こちらは「顧客がよく出入りする場所」と「キオスク端末」を組み合わせたチャネル、ということになるでしょうか。確かに「仕事帰りで夜食を買うついでに、家事代行も依頼……」という利用シーンが描けますよね。

もちろんこれらのアイデアと併用して、「ウェブで利用可能!」にしても全然かまわないわけですが。「ウェブ対応したから大丈夫だ、一仕事終わったな」で済ませてしまうのではなく、もう使い古されたと思うような分野の再検討が必要なのでしょうね。

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