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失敗も資産

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財政破綻した夕張市が、意外な「資産」を発見したようです。夕張市の失敗を反面教師にしてもらうためのツアー、が企画されたとのこと:

夕張「負の遺産」ツアー企画 財政破綻を反面教師に (asahi.com)

ツアーのタイトルは「夕張ドキュメンタリーツアー ~ゆうばりの昨日、今日、明日~」。なかなか壮大な響きですが、夕張の負の現場(破綻の原因と言われる観光施設、しわ寄せを受けた医療・福祉施設など)を巡ることで、「なぜ財政破したのか」「破綻するとどうなるか」を学ぶのが目的だそうです。当然、想定している「お客」は自治体職員や地方議員などだそうですが、一般団体客にも門戸を開く予定だとか。

「宿泊費以外に必要なのは5250円。講師を招いた場合は、数万円程度までの謝礼を支払う」そうなので、これで儲けようというわけではないのでしょうが、貴重な「観光資源」として体験談を活かすチャンスとなるかもしれませんね。平成15年度の調査ですが、財政難と考えられる自治体が23も存在しているそうですから(読売新聞の記事)、夕張市の状況を生で見たいという人は多いでしょう。そういった人々のために、今回のようなツアーを企画したり、(見事再生したあかつきには)他の自治体にノウハウを提供するといったことが考えられるかもしれません。

いや、揶揄するつもりではなく、本当に今回の企画は優れていると思います。先日も「失敗学」というテーマでお話しさせていただいたばかりですが、失敗談からは「何をしてはいけないのか」という知識を得ることができます。また失敗は「恥ずかしいもの」「おおっぴらに話すものではないもの」として隠されてしまいがちですから、夕張市の経験は、他にはないユニークな「資産」として活用できるのではないでしょうか。いっそのこと、再建の過程も公開してしまっても良いかもしれません。

先日、「夕張を支援するキットカット」なるものも発売されたそうです。実はいま一番クリエイティブな自治体は、夕張市かもしれない -- と言ったら言い過ぎでしょうか。いずれにしても、様々なものを活用しようという態度には、学ぶべきものがあるかもしれませんね。


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