オルタナティブ・ブログ > シロクマ日報 >

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

誰でも旅行代理店

»

かねてから指摘されているように、最近は消費者と生産者/サービス提供者の垣根が崩れてきています。ブログによる情報発信やオープンソース現象など、主にITの分野でそれが顕著なわけですが、意外な形で「消費者による参加」を可能にするサイトが現れているそうです:

Minipreneurs travel agents (Springwise)

ベルギーにある Club Tours という旅行サイトです。残念ながら英語版がないのですが、上記の記事によれば、「消費者が自分の考えたパッケージツアーを他の消費者に販売できるサイト」とのこと。実際のツアー準備・販売・実施はサイト運営者である Wasteels社が行い、パッケージ企画者はツアーが売れる度にコミッションを手に入れられるそうです。現在は「個人向け」「シニア向け」「同性愛者向け」など9つのテーマが用意されています。

いくら旅行代理店が旅行のプロとはいえ、全ての消費者のニーズを満たすことはできません。例えばディナー1つとっても、ある人は「食事ぐらい慣れたものを食べたい(日本料理レストランに連れて行け!)」と思うでしょうし、また別の人は「せっかくだから地元料理が食べたい(地元民が行くローカルレストランに連れて行け!)」と思うでしょう。細かいニーズを代理店側で全て把握しようとするよりは、いっそのこと消費者自身に企画させてしまえ---というのは、非常に合理的な発想ではないでしょうか。

しかも、旅行の企画というのは非常に楽しいものです。行く先を決めて見所を定め、交通機関の時間を調べて、ホテルの候補を挙げて---などなど、「旅行そのものよりも旅行を企画している時間の方が楽しい」と感じる人は多いのではないでしょうか。また人間は、「このレストランがオススメ」「この絶景をみんなにも見てほしい!」と他人に教えたがる生き物です。加えてアフィリエイト的な要素も含まれているとあれば、この"Club Tours"というサービス、人気が出る可能性が高いように思います。

実際、米Yahoo!が同じ発想を持つサービスとして、"Trip Planner"というサイトをリリースしています(参考記事「Yahoo! Travel + Web 2.0」)。こちらは企画の販売を行うことはできませんが、旅行を企画して他のユーザーとシェアすることができます。日本でも同種のサービスが始まるかもしれませんね。また「消費者を企画に参加させ、利益はシェアする」という発想、旅行以外の分野にも応用できそうな気がします。

さてさて自分はというと、今年のゴールデンウィークは特に旅行の予定無し。「成田空港出国ラッシュ!」なんていうニュースを恨めしく見つめる日々が続いています。しかもお仕事が入ってくる可能性大・・・長期休暇で旅行に出れるラッキーな皆さま、ぜひお気をつけて楽しんできて下さい。

Comment(0)