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企業内の知識流通と情報系システムの解放を目指すディスカバリーズ社 社長によるデジタル日記。

困ったお店から学んだこと(3)

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餃子屋でスープをこぼされて店長へ改善策の提示をお願いした前回からの続き

スープをこぼされて感情的になってクレームつけても生産的ではないし、食事もできず、ましてや無駄となった時間は帰ってこないので、お店には改善する姿を提示してもらうことにしました。「それならば失った時間もきっと生きるはず」と信じ、宿題を提示したあと、お店を後にしました。

それから一ヶ月ほど経ったある日、部長から「ご報告の準備ができました」と電話がかかってきました。お店に行き、クリーニング代の精算を済ませた上で、報告書類2枚を渡されて丁寧に説明頂きました。

そこには改善策として、1) 事故対応マニュアルの策定、2) 店舗への責任者配置、3) 報告の徹底、4) 社員/アルバイトへの研修、などが盛り込まれていました。

これまでマニュアルがない状態だったことを反省して、今回の一件で本社の幹部で初めて取り組んだとのことでした。顧客サービスを行う多店舗経営で標準化されたサービス提供にはオペレーション・マニュアルがないとは驚きましたが、ノウハウとして脈々と受け継いでいく暗黙知に依存し過ぎていたのでしょう。今回の指摘がなければマニュアル作りをすることは考えてこなかったので大変ありがたいことだった、と深く感謝されたときは、失った時間も生きたなと(自己満足ですが)少しだけ社会貢献に近い気持ちになることができました。

ただ、こうして他社の内状を見るとこれも足りてないなと感じるのですが、ふと自社の状況を同じ目線で見直すと大差ないことに気付くのです。例えば、情報セキュリティ、業務マニュアル、ルール/ガイドラインの徹底、これらの継続的な研修と管理など。アイテムを並べるとどれも整備されてはいるものの、社員一人ひとりが周知・徹底されれいるかと問われれば、残念ながら自信をもって「Yes」と回答できるわけではありません。

売上の必達に目が行きがちになりますが、数値化されない業務や顧客サービスへの品質管理の重要性を改めて考えさせられました。そしてビジネスの成長スピードと同時に、組織も成長させていかなければならないということ。いづれも字面にすると非常に当たり前のように見えますが、実践するのは簡単ではありません。

経営者となって18ヶ月経った現在、テーマとして設定して日々試行錯誤しています。スープをこぼされましたが、学びの多い出来事でした。
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