信頼性のグローバル化のゆくえ
日本の大企業での基幹システムの稼働率は、目標が99.8%で、実績はそれをほぼクリアしている状況、という話を前回とりあげました。
参照した日本情報システム・ユーザー会(JUAS)の調査資料に、北米の大企業での稼働率調査の引用もあり、こちらも興味ぶかいデータでした。出展はGartnerで、北米の2400人以上の大企業の基幹システムでの稼働率のデータです。予想どおりというか、目標平均が98.9%のところ、実績平均が98.0%と、日本にくらべ際立って低い数字です。自動車と同じというのか、やはり米国と日本の品質といったものに対する期待値の差のようなものの表れかもしれません。
ところで、昨今グローバルのITマーケットではインドのアウトソーシング会社が急成長しています。彼らは、日本のマーケットでも毎年二桁と急成長しはじめたというニュースがThe Wall Street Journalに載っていました。
成長はしているものの、日本の市場での課題は、という問いに対して彼らは、「日本での成長の最大の課題は日本の企業文化の壁」、と答えています。とくに日本企業に、外部の企業を信頼できると説得する困難さ、そして日本企業が絶対的な完成度を求めたり、絶対的な高信頼性を求めることだと。
彼らのアウトソーシングのやり方は、早く作って、やりながら直していくというスピード重視のコストが相対的に安くなるやり方だそうです。それを基本的なやり方として、米国でも金融機関を中心にシェアを広げてきたと言えます。もしかしたらそんなやり方を許容するのが、上のような稼働率のレベルなのかもしれません。
そういった絶対的な高信頼性よりスピード重視でコストも安いやり方が、クラウドのグローバルのマーケットの基準になって日本企業も採用していったら。日本の絶対的な高信頼性を求める企業文化とやらはどうなっていくでしょう。
自動車のように日本の品質基準がグローバルをリードするようになるのか、または豊富な機能重視の携帯のように日本だけ違うマーケットを形成するのか。この記事の中で、「生き残るには、もっとインターナショナルにならなければならない」、という日本の金融機関のITマネージャの一言が印象に残りました。