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ソフトウェア製品開発現場の視点

Windows NT 開発の物語「闘うプログラマー」が復刊に

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年末にリアルな本屋さんで Windows NT の開発について書かれた「闘うプログラマー」(原題 SHOWSTOPPER!) が復刊になっているのを見つけました。2009年7月に復刊になったようです。オリジナルは、1994年に発行されているので、復刊までに実に15年経っている。オリジナルが出版されたときに話題になったので、一度は読んだような気がしているが、ほとんど記憶がないので正月の読書として買ってみました。

主人公のデーブカトラーは、DEC の OS である VMS を開発した後、DEC の次期バージョンの OS と言われた Prism の責任者であったが、Prism プロジェクトは中止されて、その後 Windows NT を開発するために Microsoft に入った有名人です。アメリカでのソフトウェア開発(特に OS のような基本ソフトウェアの開発)がいかに混沌としたものかよくわかります。過去のバージョンからの互換性と新バージョンの機能のどちらを優先するかについての、経営者、プログラムマネージャ、エンジニアの間の衝突などは、ソフトウェア開発に携わったことのある人にとっては、読みごたえがある内容です。

基本ソフトウェアの開発は、開発するための道具から自分で作るしかないという世界です。開発当初は先は見えておらず、それでも開発を始めないことには、大きな結果を出せません。Microsoft は Windows NT の開発によって大きなリターンを得ることができましたが、先が見えない開発に投資ができなかった、または投資が不十分であったために失敗したというような話は、至る所にあります。

ソフトウェアの場合は設備投資は、他の製造業に比べて微々たるものですが、人に対しての投資を設備投資のように考えていては、目的は達成できません。人は、設備のように仕様通りにアウトプットが出るものではないからです。ソフトウェアエンジニアのアウトプットは、やり方によって何倍にもなるし、何分の1にもなります。そのためにエンジニアが大きな権力と責任を持ちます。さらにそういったエンジニアの集団をバランスよく制御する、協力なマネージメントやリーダーが必要になります。特に、一人の人間がチームに加わる(またはチームから去る)ことで、チームのパワーバランスが大きく変わるところは非常に興味深い部分です。

本書には、NTFS の話、パフォーマンス向上の話、ストレステストの話など、ソフトウェア開発に携わっている人にとって興味深い内容も多く含まれています。現在の Windows 7 の最初のバージョンの開発の歴史を知っておくという意味で、読んでおくのも良いかと思います。

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