原発再稼働に見るマスコミの功罪
既に報道の通り、川内原発の再稼働が承認された。
それに対する、各新聞、テレビの報道は千差万別である。
NHKは、国営放送局にもかかわらず、まるで政権を敵とみなすような報道を続けてきた。
もちろん、どこかの国のような、完全に統制の入る報道はあってはならない。
しかし、これまでNHKは、中立とは程遠く、両論併記をすることなく、批判的報道を繰り返してきた。安倍政権となりようやくテコ入れがなされたわけだ。
これを朝日や毎日は「言論統制」と批判している。
普通に考えていただきたい。私が英国に留学していた時も、別に政府の御用放送局になることなく、それでいて的外れな批判はしないという姿勢だったことを覚えている。
国営放送局たるもの、善意の監視者になるべきなのに、ただの批判者になっている。
そもそも、民主党政権時代に設置された原子力規制委員会は、活断層などの判断を下せる専門学者がいないことは、一部マスコミで報道されてきた。それにもかかわらず、原発再稼働を許さないことを「前提とした」判断が下されてきたのである。
私は元メディアに属したものとして、朝日、毎日系列の報道は目に余る。社是が、国と反対の意見を言うことなのだから聞いてあきれてしまう。
この話は、開米さんのブログに載ったこととかぶってしまうが、私が群馬テレビに在籍していた時に、参議院選挙があった。朝、投票を済ませて会社に行くと、報道局のデスク責任者が私にしきりにどの政党、どの候補者に入れたのか聞いてきた。それを拒むと「別に茶化すわけではないから言えよ」としきりに言うので、仕方なく「自民党」というと、彼はその瞬間大声で、「なんて奴だ。山森はこんな時に自民党にいれたんだってよ!」と全員に聞こえるように叫んだのだ。もう定年しているし、被害をこうむったのは私なので実名を出そう。元群馬テレビ取締役の新井氏だ。
アメリカであれば間違いなく裁判になり、巨額の賠償を払うことになったであろう。
言ってみれば、それだけ日本のマスコミはレベルが低いのである。
私も出た大学なので恥ずかしい限りだが、マスコミには早稲田大学出身者が多い。同じ稲穂を誇りとするものとして、情けないとしか言いようがない。
さて、話題をエネルギー問題に戻したい。
皆さんの中で、火力発電所が極限まで老化し、この夏を乗り切れるかわからないことをご存知の方はどの程度いらっしゃるのだろうか?もしある火力発電所がパンクしてしまった場合、数年前に味わった計画停電の憂き目にあうのである。
私は原発が将来まで最高の発電方法だとは思わない。しかし、もしあなたがこの進化した日本文明を甘受しているのであれば、それで原発に反対するのは都合がよすぎるというものだ。
昨日、霞が関付近では原発再稼働反対のデモが盛んに行われていた。インタビューされていた女性の意見を聞いて驚いた。「常識的に」考えて原発を再稼働するのはいかがかという意見だった。どこにそんな常識があるというのだろう。
原発反対の有名人といえば、小泉元首相を除くと、ノーベル賞作家の大江健三郎氏や、ミュージシャンの坂本龍一氏などがいる。
あろうことか、坂本氏は、太陽光発電メーカーのCMに出ているではないか。出演料をすべて福島に寄付していたとしたら、素直に私は詫びるしかない。しかし、普通に出演料を受け取っていたとすれば、業界の利益代表に過ぎない。
その点で、私は坂本さんがCMに出たことは残念だった。
マスコミは購読料ではなく、広告で成り立っている。これは新聞もテレビも同じだ。
近年では、インターネットメディアとの選別が始まっている。新聞の購読率も下落し続けている。
マスコミは、今までの選民思想をやめ、リアルに信用できるメディアにならなければ、消えゆくのみだ。滅びの笛はもう鳴り始めている。