「カウンセリングとキャバクラって違うんですか？」

　表題を見て、「なんじゃこりゃ！？」と驚く人もいるかもしれません。　カウンセラーの中には「水商売なんかと一緒にするなんて！」と怒ったり（職業差別は良くないですよ？）、呆れてしまう人もいるかもしれませんが、実際にあった質問なので現実から目を背けてもどうにもなりません。

　私も話を聞いた瞬間は「は？」とか、「そんな質問する人いるんだ・・・」と思いましたが、質問者の中では区別がつかないほど類似したものなのかもしれません。

　たしかに比べてみると、お酒が出る、必ず女性が近くに座ってサービスするという違いがあるものの、「話をしてストレスを解消し、気分が楽になって帰路につく」という部分では一致している気がします。　以前も記事にした通り、形はどうあれ普段は内に秘めている話をすることには、表現欲求の解消が伴うためです。

　この表面的な字面だけ見るのであれば、「酒や女性からのサービスが付く分、キャバクラの方が得じゃね？」とさえ書いてて思えてきましたが、そういう問題でもない気がするので、ちゃんと考えていきたいと思います。

　細かい区別をしようと思えば色々とあげつらうことが出来そうですが、その行為自体にあまり意味を感じられなかったのでザックリと見ていくことにします。
　そもそも大きく違うのはサービス内容の中核となっている部分と、ターゲット層ではないでしょうか？

　カウンセリングは主に老若男女を問わず、悩みや問題を抱えた人を対象に心理学や心理療法を根拠としたカウンセリングを行い、来談者の問題の解決、メンタルヘルス不調の予防などを行なうことがサービスの中心となっています。
　対して、キャバクラの場合は主に、成人男性をターゲットとして、女性による接客や飲食物の提供をサービスの中心としています（・・・と思います）。

　つまりキャバクラの場合、総合的に楽しんで帰ってもらうということは目標になっていても、何かしら心の問題が解消したりストレスが軽くなるのは付随効果であり、そこを目指しているサービスではないということです。　もし、通常提供されるサービス以外に、表現欲求の解消以上の（カウンセリングに類似する）効果をキャバクラに求めているのであれば、そもそもがおかしいと言っても間違いではないでしょう。

　さらに、「楽しいことで嫌なことを吹き飛ばそう」というような利用方法で精神的な問題を解決しようと思っている場合には、過ぎ去った細かな問題には効果があるかもしれませんが、実際に現在の問題が解決するわけではないことにも注意が必要です。

　なので、普通に考えると

「カウンセリングに行ったけど、精神的な問題が解決しなかったよ」
と、他人に話したとすると、

「ありゃー、それは残念だったな・・・」
・・・と返してくれるでしょうが、

「キャバクラに行ったけど、精神的な問題が解決しなかったよ」
と、他人に話したら、

「そりゃそうだろ・・・何言ってんだ、お前？」
・・・と返されるだろうということです。

　まぁ、憂さ晴らしと考えれば多少はありかも知れませんが、正直、接客する方の身としては重い客でしょう・・・。

　ただ、キャバクラではサービスの性質上、（カウンセリングとは異なるものの）コミュニケーション術というのは必須のもので、評価を上げるために並々ならぬ努力をしている方々もいるわけです・・・それこそ、いちカウンセラーの身では想像することも難しい程の努力かもしれません。　一時期有名になった筆談もそうですし、様々なコミュニケーション方法の可能性を広げるために、カウンセリングの勉強をする人もいるようです・・・あくまでキャバの世界で役に立てるために・・・それが実際、役に立ったのかどうかは全然知りませんが。

　もし、キャバクラで素晴らしい接客を受けて悩みがスッキリと解決し、カウンセリングと区別が全くつかないという人がいたとしたら、それはキャバクラが、カウンセリングが云々ということではなく、その接客をしてくれた女性のサービスが良かった・・・裏を返せば、その女性の努力が形になったものだということかもしれません。

　そう感じた時には、その女性にお礼を言いつつ、「話の聞き方が上手いね」「努力してるんだね」「頑張ってるんだね」と声をかけてあげれば、喜んでくれるのではないでしょうか？
　・・・それで何かが、起こるわけではないかもしれませんが。
（※もの凄く憶測で書いた部分があるので、何があっても無くても責任は持ちません）

　なんだか今回、キャバクラの啓蒙記事のように見えますが、一応カウンセリングの啓蒙の記事・・・のはずです。　キャバクラで人生に好循環がもたらされているのであれば良いですが、それでももし負のループに入ってしまったと感じたら、カウンセリングを受けることを選択肢に入れてみてください。

　ちなみに、睡眠障害が出ていたり、精神的な問題などを抱えているときにお酒に頼ると、睡眠の質を下げたり、精神的にマイナスに作用することが多いので、カウンセラー的にはお薦めできません・・・お酒は節度を守って、ほどほどに。