『日本でいちばん「エロ画像」を検索しているのは佐賀県民』?の真相
検索で関連語をサジェストする機能など、さまざまな機能への便利さと信頼性から「Google先生」と称されるGoogle。そのGoogle のGoogle Insight for Search (Beta) という広告キーワードターゲッティングなどに使われるツールのデータを元に、『日本でいちばん「エロ画像」を検索しているのは佐賀県民』というブログエントリーが、佐賀県出身の私の周りで話題になりました。
佐賀県出身のタレント(含む元)として、江頭2:50、田代まさし、はなわ と強烈な個性が揃っている佐賀県だからでしょうか?それとも、Yahoo! Japanの立役者孫正義氏の出身地として、Googleは「特殊」な用途専用に使われているからでしょうか?真相はそうでもなさそうです。
日本でいちばん「エロ画像」を検索しているのは佐賀県民 – ロケットニュース24(β) via kwout
「エロ画像」というキーワード検索の順位であって、実際の画像検索の傾向は分からない:
記事にもありますが、見出しは釣りで、これは 「エロ画像」というキーワード検索の2010年のトレンド累積で導かれたデータです。「そんなキーワードで得ろ画像を探すか!」という突込みが渦巻きました。つまり、キーワードを使った検索の濃さの度合いだけであり、実際のそういう画像検索がされている傾向全般を拾ったデータではないことをそれだけに限ったデータということがまずあります。
また、このキーワードは
Google Trends の意味を知る:
このURLから実際の、最新のデータを見ることができるので是非自分で直接ご覧になることをお勧めします。
http://www.google.com/insights/search/?hl=ja#q=%E3%82%A8%E3%83%AD%E7%94%BB%E5%83%8F&geo=JP&date=1%2F2010%2012m&cmpt=q
さて、Google Trendsでのランクを決める指数は、全体の検索総数に占める相対的な割合から算出されたものです。単に面積あたりの検索数とかだったら、人口密度に比例してしまうのですが、そうならないように比率でランク付けしているわけです。
推論1、家庭からのGoogle検索利用比率が高い県が上位にランクしたのでは?:
さて、2010年のランクを見ての印象から分かるように、大都市ではなく田舎の多い都道府県が上位に入っています。
1. 佐賀 2. 島根 3. 秋田 4. 鳥取 5. 大分 6. 山形 7. 高知 8. 宮崎 9. 山口 10. 徳島
さて、Google検索の利用シーンで一人一台パソコンがあって、考え事しながらGoogle検索できる職場ばかりではないことをまず思い出す必要があります。また、オフィスワーカーでも官公庁とかでネットの利用をより厳密に制限しようという職場もあります。
田舎では、メールを書く参考情報を探しにGoogle検索を自由にできる職場が相対的に少なく、そもそもパソコンが無いところが多かったりします。また、佐賀県と山形県だと福岡や仙台とかの隣県に働きに出ているというケースもあります。
推論2、女性、主婦層へのGoogle浸透の遅れでは?:
女性はおそらくそういう単語での検索はしないと思うので、女性が検索しそうな単語をチェックしてみました。確かに「献立」は圏外でしたが、美容室(4位)、レシピ(2位)、受験(1位)、など 意外な単語がランクインしています。どっちかというと職場からのビジネス関連検索の少なさでコンシューマー系が全般的に上位にあるという印象を持ちました。
推論3、コンピューター、テクノロジー系の単語検索が少ない:
JavaScript 、SQL、Oracle とかの技術系単語で、佐賀県はかなりランクが下で地図も薄くなっています。代わりに、福井、鹿児島、石川、徳島、島根、長崎 などが上位に入りました。こういうテクノロジー系単語は調べものなどで頻繁に検索されがちであり、そういう単語の空白がコンシューマー系キーワードで際立つ結果につながっていそうです。
トレンドを見ていただくと分かりますが、話題で波乱を起こしている直近を除けば、SQLは 「エロ画像」に匹敵する人気キーワードであり、その手の単語も多い地域は相対的に コンシューマー系ワードが埋もれることになります。
「エロ画像」で上位の県の技術系単語の状況です。
佐賀は鳥取に似て、SQLでゼロポイント(閾値より下?)ですが、よりJavaScript とかのワードでの低さなどが影響しているように見えます。
最後に:
地域別データには落とし穴があって、公平にデータを取っているようであってもその実態が違うということがままあります。表面的データだけを見るのではなくその後ろの意味を洞察しながら考えることが必要でしょう。
そして、栄えあれ、佐賀県。