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色は日常に当たり前のように存在しています。そして、意識するしないにかかわらず、私たちは色の影響を受けているのです。カラーマーケティングといっても、色の使われ方は多様で、パッケージや商品の色だけに限らず、販売促進、そして企業や人のイメージ戦略、また、商業施設や病院、美容院など様々な環境での色彩計画、そしてセラピーなど、様々な分野に及びます。ここでは様々な角度から事例を紹介し、色を付加価値として取り入れていく方法をお話ししたいと思います。

ヒット商品「キリン 澄みきり」に見る"売れる色の法則"

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先日、「ビール大手5社が発表した、ビール類の出荷量は前年同期比0.9%減で、2年ぶりに前年実績を下回った」というニュースが流れましたが、その中でも、価格の安い「第3のビール」は唯一プラス成長を続けていて、上半期は過去最高となったそうです。

その第3のビールで、只今売れに売れてるのが、5月中旬に発売されて以来、話題の新世代ビールである「キリン 澄みきり」です。


 

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原材料に麦100%を使い、原点であるラガービールをはじめ、120年以上の歴史の中で培ってきたビールづくりの知見や技術の粋を集めて開発したという新商品です。

「ラガービール」伝統の、力強い飲みごたえのホップ、「一番搾り」から受け継ぐ麦へのこだわり、「麒麟淡麗<生>」の大麦からうまみだけを引き出す技術など、キリンのすべてを余すことなく注ぎ込まれているそうです。

 

今回は、こちらの「澄みきり」を色とデザインの視点から分析したいと思います。


澄みきりは、味はもちろんデザインにも非常にこだわりがあるそうです。

KATANA(刀)をコンセプトとして、余計な装飾を極力排し、刀鍛冶のようにそのもの自体の存在感を研ぎ澄ませていくことで、これまでの商品とは違う、シンプルで洗練されたデザインにしたそうです。

CMでも戦国武将の恰好をした豊川悦司さんが澄みきりを片手に熱演をしています。
ちなみに、彼が身に着けている甲冑は約30キロもあったそうで、「おっちゃんにはきつい仕事だった」と苦笑いしてたとか!?

 

実は、このパッケージに使われている色「シルバー」は男性に好かれる色なのです。

と言うのも、シルバーは硬くて強くて光り輝いている色、つまり武器の色なのです。
太古から狩りをしていた男性には、武器は遺伝子レベルで男心をくすぐると言われてます。

だから、男性をターゲットにした商品で、シルバーはよく売れます。

 

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また、シルバーはシャープで洗練された印象、都会的なイメージを持っています。
しかも「澄みきり」の文字を白にすることで、上品ですっきりした印象を与えます。

そこに、このビールの特徴である、「スッキリと澄んだ後味」そのものが現れているのです。


他にもキリンのマークの中にある赤の活用も素晴らしい!
なぜならば、赤は少量でもアクセントとなり売り場でも目立ち、食欲を引き出す色なのです。

またゴールドと組み合わせることによって、リッチな気分にしてくれます。


最近のビールは差別化を図るために、パッケージに様々な色を使っています。
従来から、シルバーのパッケージと言えば、「アサヒ スーパードライ」のイメージが強過ぎたので、他のビールメーカーはあえて使わなかったのでしょう。

しかしこのシンプルな「澄みきり」は、色が乱立する中ではかえって目立ち、他の商品との差別化になるのです。


ところでこの「澄みきり」ですが、真っ白な試飲缶には「キリンじゃなくちゃつくれないものをもう一度つくろう」というメッセージが書かれていたそうです。

 

白はリセットして新しいスタートを意味する色。

キリンの決意がしっかり伝わりますね。

 

 

 

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