ERPは、ベストプラクティスからカスタマイズの時代へ
数年前まで、ERPを導入する理由の大きな1つは「ベストプラクティス」を取り入れるためでした。優れたERPパッケージには、優れた企業のベストプラクティスが詰まっています。だから、優れたERPパッケージを導入することは、他者のベストプラクティスを自社に取り込むことに通じていました。
ある大手ERPパッケージ企業の基調講演で、「デルが採用しているこのERPパッケージを入れれば、あなたの会社もデルのように素晴らしいサプライチェーンが構築できます」といった売り文句が使われていたことを記憶しています。
しかしSOAが、こうしたセールストークを変えているようです。
@IT情報マネジメントでは毎月BPMの勉強会を開いています。その中で、あるコンサルタントの方がこう指摘されました。
「以前はERPを導入する大きな理由がベストプラクティスだった。けれども、情報システムがサービス指向アーキテクチャ(SOA)で構築されるようになり、必要なサービスを自由に組み合わせて構築するようになってくると、ベストプラクティスを構築するのではなく、その企業に最適な組み合わせを考える必要が出てくる」
ERPパッケージをサービスごとに分解してSOAに対応させることは、ERPパッケージベンダがここ数年来推進してきたことで、その成果が形になって現れてきたといえます。しかし一方で、コンサルティングの現場ではこうした変化にはまだとまどいもあるとのこと。
こうなると、ERP導入の理想としては、ベストプラクティスを導入しつつも、それを自社に最適な形にカスタマイズする、という姿が見えてきそうです。そして、ERPコンサルティングにあたっては、単に業務とパッケージを摺り合わせるだけでなく、どのようなシステムがその企業に最適なのか、パッケージの優劣と同等以上に提案の善し悪しが試される、難しい時代に入ってきたといえそうです。