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夏目房之介の「で?」

小熊英二『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』講談社現代新書 2019年

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ツイッターのコメントでおすすめされ、素直に読んでみたら、これまた目ウロコ連続の素晴らしく勉強になる本だった。日本型終身雇用は60年代高度成長期に定着したとか、明治以来の軍・官由来の「何を専攻したかではなく、どの大学を出たかの学歴が重視される雇用と給与体系」の歴史経緯とか、昨今いわれる「非正規雇用」の傾向はすでに70年代に始まったとか、また他国との比較でどこが同じでどこが違うかの検証の困難さとか、まさに日本社会のしくみが目に見えてくる本である。日本のマンガ市場拡大期、70年代初頭の編集プロダクションという下請けシステム成立も、大学進学率が増加し続けた70年代、大企業の雇用抑制を中小企業が非正規雇用で吸収した時期と一致していた。さっそく講義にも使わせてもらった。必読の書である。
追伸
この本のいいところは、様々な現象ごとに肯定的な面と否定的な面を併記して指摘しているところです。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000321617
『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(小熊 英二):講談社現代新書 製品詳細 講談社BOOK倶楽部
BOOKCLUB.KODANSHA.CO.JP
『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(小熊 英二):講談社現代新書 製品詳細 講談社BOOK倶楽部
「日本社会のしくみ」は、現代では、大きな閉塞感を生んでいる。女性や外国人に対する閉鎖性、「地方」や非正規雇用との格差などばかりではない。転職のしにくさ、高度人材獲得の困難、長時間労働のわりに生産性が低...
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『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(小熊 英二):講談社現代新書 製品詳細 講談社BOOK倶楽部
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