山崎祐則著、稲泉連解説『まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙』
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山崎祐則著、稲泉連解説『まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙』偕成社 2018年
目白のぽぽたむで偶然見つけた一冊。手塚や本多勝一など、戦時中に夢中で漫画を描いていた少年達がいたことは想像できる。山崎祐則もその一人だった。彼は1945年19歳で特攻で亡くなった予科練生(手塚は16歳)。漫画が好きで、漫画入り絵手紙を多く残し、コマ漫画の習作やミッキーの模写、予科練でガリ刷りで作成した『予科練時代』など興味深い画像資料がある。妹恭子宛の手紙にはわざわざ松本かつぢの便箋が使われていて胸に迫るものがある。戦時教育で20歳以上生きられないと信じていた当時の少年達。未来を奪われた彼らにとって漫画を描くことは、描かれた内容以上の意味や価値を持っていたはずだ。手塚治虫はその中の一人だった。これは戦前戦中と戦後現在を繋ぐ歴史観再構築にとっても重要なポイントかもしれない。
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