桂正和×鳥山明共作短編集『カツラアキラ』
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いや、これも面白いですよ。すでに長年漫画家として名をなしてきた別々の作家が組んだ作品として、これほどの完成度はあまり記憶にないです。過去に、同じ二人でもあった気がしますが、この単行本は完成度あがってるように感じます。うまい具合に両者のテイストと才能が合体してるみたいです。
最後の対談で、鳥山は、くだらないやりとりが好きな自分に対して桂がドラマチックにしたがると発言している。が、桂は反論する。最初にわたされた鳥山ネタが感動的なのに、どんどんそれをスカして崩そうとするから抵抗したんだと。このあたり、この作品の創作過程のみならず、両者の創作過程を想像させて面白い。
ところで、収録された『さちえちゃんグー!!』が2008年の「ジャンプSQ」、「JIYA-ジヤ」が2010年の「週刊ヤングジャンプ」と、すでに4〜6年前(ちなみに鳥山明『銀河パトロール ジャコ』は昨年2015年「週刊少年ジャンプ」連載)。これだけ時間がかかったのは、やっぱり桂さんのこだわりだろうか?(邪推?)
桂さんとは、たしか10年以上前にアングレームでお会いしてるが、ふつうにお話しできるふつうな感じの方だった。が、おそらくものすごく頑固なところのある方でもあろうと感じました。その点では、お会いしたことはないが、鳥山さんも負けないような気がするので、共作は相当のぶつかり合いでもあったようです。でも、キャリアと自信のあるお二人は、それを楽しんでいたように対談などから伺えます。相性がいいんでしょうが、マンガ読みとしてはじつに幸運な組み合わせになっているかもしれません。いや、作品読んでもじつに楽しそうです。そういうのが伝わってくるのも、うれしい。