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夏目房之介の「で?」

『デッドプール マーク・ウィズ・ア・マウス』

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 『デッドプール マーク・ウィズ・ア・マウス』(小学館集英社プロダクション)を送ってもらった。
アメコミの変り種。全編これ、冗談とパロディと悪ふざけの並行世界モノ。
 主人公は、どんなケガでも即座に復活する能力の超人だが、そうなる過程で見るも無残な相貌になったウェイド・ウィンストン・ウィルソン。マーヴェルのヒーローだが、憎まれ役の傭兵・暗殺者で、いろんな作品に顔を出しているらしい。
 本作では主役で、ヒーローが全部ゾンビになってしまった世界の自分の首とともに冒険を繰り返す。回ごとの表紙にはゾンビの首がジョーズになってるとか映画ポスターのパロディが山ほどあり、ついでに『子連れ狼』のパロディも。作中でも様々なセリフにパロディがちりばめられる。コミックはもちろん、映画、音楽、食べ物など、多くの言葉別紙解説にのっている。こういうおバカなマンガ、大好きなので、ひじょうに楽しい。
 が、じつはたんなるパロディというよりも、そもそもこのキャラクターは、読者に向かって語りかけられるメタレベルの観点がヒーローの能力設定になっているらしい。このメタな観点が今のアメコミの読まれ方なのかな、と感じたりする。正直、アメコミにさほど詳しいわけではないので、ネタの多くはわからんのだが、基本こういうスタイルが好きなので、かなり楽しめたし、面白かった。絵も、しばしば作家が変わり、スタイルも変化するなど、日本のマンガではなかなか見られない面白さもある。

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