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夏目房之介の「で?」

明治大学リバティアカデミー「漫画はどのようにして生まれたか ~西洋と日本~」終了

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https://academy.meiji.jp/course/detail/1389/

 5回にわたって、宮本大人、小野耕世、佐々木果各氏が講義を担当した連続講座が、昨日で終了。前半は、研究者には比較的既知のことも多かったが、後半は刺激的な検証や仮説が出てきて、じつに勉強になりました。
 かつてマンガ史研究会で一緒だった人達や、最近顔を見知った研究者などが聴講し、毎回、講座終了後の飲み会も楽しみでした。僕は昔から雑談、無駄話が好きで、マンガ史研のときも、リラックスした飲み会でだけ聴ける話などが好きでした。今の僕のネットワークは、そのときに獲得したといってもいい。
 ゼミでも、必ず有志で飲み会に行きますが、人によっては時間の無駄にしか感じられないかもしれない。でも、案外そういうときのコミュニケーションが、意外な知識や発想、領域を越えた連関を生むことがあり、楽しいだけじゃなかったりするんですね、経験的に。そもそも週刊朝日で仕事をしてた頃も、打ち合わせの最初は雑談が多く、食事にもよくいった。そういうときにアイデアのヒントなんかはよく生まれたもんです。頭が柔らかくなって、情報が広範囲にシェアできるんですね。

 ところで、何回目だったか、女子大生が「マンガ夜話」をよく観ていたといって話しかけてくれました。小学校の頃から観ていたそうで、つげ義春なども夜話で観て初めて読み、温泉物中心に好きになったんだそうです。夜話もすでに歴史になってますが、そういう話を聞くと嬉しいですね。ほっておけば知りえないマンガを番組で読んでくれる。『ジョジョ』の新刊を心待ちにするマンガ好きの若い女性が、つげ義春も好きだというのは、なかなか素敵な番組の効果じゃないですか。

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